事與願違
 無言で共に時間と空間を共有出來る人が欲しくて堪ら無い時期があつた。
 今だつてさうだ。
 一日の内數時間、二十四時間の内たつた二・三時間だが、意識して己を保たぬと氣付けば涙で頬が濡れてゐる事がある。
 たつた二・三時間の事なのだ。無意識の内に泣く前に他者と接觸してしまへば遣り過せる。

 集中して他との關りに意識を向ける樣に心掛け、過去を反芻してしまふ己を抑えておかう。
 思ひ出さうとしても思ひ出せず、それでも何故か僕を哀しませる僕の思ひ出達。それらを僕は掘り起こすべきでは無いのだ。
2003年08月11日(月)
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