不可謂
 何だろう、叫びたい。

 胸のもやもやが大きくなると打ち消す為に全部を曝け出したくなる。
 言わなくても良い事、言ってはならない事まで誰かに知って貰いたくなる。
 考えてはいけない、試してはならない行為。

 幼稚園からの僕の親友は、僕の心の中の事は全部知ってはいるけど僕の身体の事は一部しか知らない。
 小学校からの僕の友達は、僕の心と身体の不自由の一部だけしか知らない。
 中学校からの僕の友人は、僕の心と身体の不自由を知りもしない。
 高校からの僕の知人達は、僕の身体の不自由を一部だけ知っているのみ。
 学校以外の知人には、僕は殆ど教えていない。
 僕と付き合ってきた人達は、皆一つづつしか僕の不自由を知らない。

 高次脳障害、むち打ち、鬱…その他諸々。
 記憶出来ない事が頻繁にある事、いきなり暴れ出す事がある事、自分が何か迷惑を掛ける事があるかもしれない相手には其れくらいは伝えてある。
 高校の時、部活が一緒であった知人達もそれくらいは知っているだろう。

 僕の身体の状態を全て知った心算で色々言う莫迦も居る。
 言われる度に、貴方が知らない事がまだまだあるのですよ、と余計な指摘をしたくなる。
 指摘を口に出す気は無いから唇を微笑み掛けた形にした侭相手の眼をじっと見てしまう。

 僕の身体のある状態を知ると喜んで僕を食べようとする莫迦も居る。
 逆に同じ事実を知って僕を疑い出す莫迦も居る。
 己の思い込みを否定されたからと僕に負の感情をぶつける莫迦は多い。僕がいつ初めてだと言ったのだろうか。

 「僕の身体は小学校の高学年の頃から殆ど成長していないのです。」
 この科白を何度も他人に言ってきた。本当の意味で解してくれた人は居なかった。
 是は僕の身長の事だけを指して言うのではない。

 僕の心も身体も小学校の高学年の頃から殆ど成長していないのです。
 成長を止める原因を作ったのは僕、成長したくなかったのも僕。
2001年03月01日(木)
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