シナモンパンもレモンパンもナシ...mo_speedy

 

 

629を巡る幾つかの断片 - 2001年06月29日(金)

629!
何度この日を思って胸を高鳴らせたことか。
その日がついにやってきた。
午前中に到着するはずの宅急便が正午ちょうどに着く。
サイちゃんや、お昼からやって来られる人たちはもう水道橋に着く頃か。
とにかく急いで赤いサンダルを履き、ドアの外へ!
始まる。最高に贅沢な想像、多分、それ以上に楽しい一日が。

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三鷹のコージーコーナーでお誕生日祝用のケーキを三つ買ってから水道橋へ。
駅に着いてサイちゃんに電話すると、もうみんな集まり始めているとのこと。
なので、先に打ち上げ会場にケーキを預けに行く。ケーキのことは、秘密だから。
お店ではケーキを冷蔵庫で保管してくださるとのことだったので、ドライアイス
を取り出すために一度開封。
すると、せっかく書いてもらったお誕生日プレートがケーキから落ちて、チョコ
の字が消えてしまっていた。大ショック!
「かなこちゃん」、「まきちゃん」、「6/18&6/29」の三枚のプレート
だったのに、残念。
店員さんに尋ねるとこの近辺にケーキ屋さんはないらしいので、どうしようも
ない。とにかくお礼を言って、その場を離れる。
ドームはもう目の前。
はやる気持ち。もどかしい足取り。

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13:00少し過ぎ。
ライブは18:30からなのに、もう駅からドームへ向かう人の波ができている。
みんなは現在グッズ販売の列に並んでいるらしいので、飲物が欲しい人はいない
か電話で聞いてみる。駅のコンビニで「チョコペンのかわりに使えるかも知れない
から、油性マジックを買っておこう」とふと思い当たったので、ついでに飲物を買う
ことにしたのだ。
今日は、とても蒸し暑い。
照り付ける陽射しはさほどでもないけれど、沢山の人が発する期待感、それが
そのまま気温に反映されているかのような空気。
辺りを包む熱気。拡散しない熱気。

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列に並ぶこと2時間強。遥か後方まで伸びた長い長い列が時間の経過を物語る。
並んでいる間に前から知っている人、今日初めて会った人、とにかく沢山の人に
会う。
その人々とかわした沢山の言葉、沢山の話題。
みんな一様に、あけすけな愛情と今日この場にいる喜びを全身に纏っていて、
普段は嬉しいことを素直に嬉しいと言えないことが多い私も徐々に、素直で明る
い気持ちになってくる。
まっすぐな喜び。
まっすぐに届く喜び。

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やっとグッズを購入した後、遅い遅い昼食。
先日の下見で見つけた近くのイタリア料理屋に大集合。
赤のボーダーTシャツから、いよいよ629Tシャツに着替える。
髪もまとめて万端OKの構え。
「私は参加する準備があります」、その意志の表明。
すこし、気恥ずかしいけれど。

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17:00過ぎ、三角オブジェ付近で時が満ちるのを待っていると、急に視界が
きかなくなる。さっきまで、少しもおかしいところはなかったのに。
寝不足?
水分が急激に奪われすぎた?
寒暖の差に対応しきれなかった?
いずれにしてもまずい。非常にまずい。

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立っていることも、顔を上げることもままならなくなり、世界の全てがサイケ
デリックな揺らぎをもってまわり始める。
本格的に何らかの理由で体がおかしくなってしまったことを認識。
開演まで余り時間がない。
何とか、座ってでも参加できるように辻褄を合わせなければ。
とにかく安静にして水分と糖分を補給してみようと、周りの人に甘えて座らせて
もらい、その上ジュースなどを買って来てもらう。
ほんとにありがとう。

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いよいよ本格的に吐き気がしてきたけど、多分お手洗いは全てものすごい混雑
だろう。
寝ると余計気持ち悪いということはわかっていたけど、すぐに駆け込めるお
手洗いの近くに居る必要があると思い、何とか歩いて医務室へ。
サイちゃんに連れて行ってもらう。
案内所から連絡をいれておいていただいたからか、すんなりと通してもらえる。
係員の方々が、てきぱきと親切で助かった。
素早く事務的な対応が、こういう時には殊更ありがたい。

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もうすぐせっかくのライブなのに、こんなことになってしまって!
サイちゃんには、本当に申し訳ない。
彼女が励ましと気にしないでという意味の言葉を繰り返しかけてくれなければ、
根性ナシの私は「もういいや」とあきらめ、この場にいつまでも留まってしまった
かもしれない。
ひとりじゃなくって、とても心丈夫だった。ただ感謝、感謝、感謝!

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何度かもどしたりしてしまったけど、おかげで堪えきれずにその場に粗相して
しまうような危惧はなくなった。大人しくしていればライブ会場の座席につい
ても大丈夫かも、と踏む。
もうすぐ開演時刻なので、医務室の方々にお礼を言い、ヨロヨロと屈みながら
歩いて席へ。
係の方がバックステージから席の近くまで案内してくださる。
極めて混沌としている意識の中で、ぼんやりと「ああ、もうすぐ始まる」と思う。
彼方でキンキン夫妻の声が聞こえる。

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いつもどおり『ハートのエースが出てこない』〜『ラジオ体操』。
時間はほとんど押していないようだ。
空気は人いきれで膨らんで少し蒸し暑いはずなのに、寒気がする。
目が回る。
一番マシに感じる一定の場所に顔を固定しておかないとまたすぐに吐き気に
襲われてしまう。
仕方なく顔を上げることができないまま、座って一曲目の『春一番』。無念。
「でも、ここに来られただけでもいいんだ」。納得しようと自分を懸命に説得する。
うたさえ、うたさえ聴ければいいと何度も。

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少し時間が経つ毎に水分を補給する。
「まだだめ?」時折、顔を上げてみる。
まだ。
まだ。
あー、『地下街』!残念ながらまだ。
このままずっとこの状態だったらどうしようかと不安ばかりが押し寄せる。
打ち上げの幹事はサイちゃんにお願いして、明日の結婚式に出られなそうだった
ら、誰かに代理を・・・と、最悪の場合のシナリオを思い描く。
不安、焦燥、悪いイメージの羅列。
抜け出し難い循環。

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『始まりの場所』。
顔を上げてみる。すこし大丈夫!
ここから、嘘のようにどんどん快復。ほっとする。
『贈る唄』に間に合ってよかった。かなちんおめでとう。
何もかもを初めて見渡す。
光!天井!スタンド!すべてが見える!

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アンコールステージがかなり近くて驚く。喜ぶ。
目が眩むような光を避けながらどうにかふたりがうたうのを見る。
うたを聴く。『てっぺん』までの時間があっという間。
信じられないほどに、まるで一瞬のように。

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笑顔を浮かべた人ばかりがドームの外にあふれる。
ブロック別に時差退場だったから、ふた手に別れて打ち上げへ。
正直言って、参加すると言っても実際は来ない人が何人かは出るだろうと少し
心配していたけど、フタを開けてみれば。
全員ちゃんと来てくれたばかりか、飛び入りの人まで来てくれた。
20人を越える大所帯。この場に立ち合えてよかった。
水道橋西口の『949』の方々は、時間の遅れや急な人数変更にも感じ良く
対応してくださった。
今日はほんとに、体がどうかしてしまった以外は何もかもが完璧。
世の中の全てが感じの良い人で構成されている感じ。
とても良い感じ。

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久しぶりに会ったケイくんや偶然初対面を果たした不思議少年の相方で、その
存在だけを知っていたサボリダー。
弟のクラスメイトだったというエミちゃんたち。
他にも沢山の人と陽気に話しつづけて、というよりも復活した嬉しさで私自身
がかなり饒舌で、とぎれることのないマシンガントークの応酬。
即席ながら持ってきたケーキとみんなでうたった『贈る唄』でマキちゃんと
かなちんのお誕生会も無事決行(お菓子のプレートに油性ペンは、やはり無理
があったけど)。
果てしない躁状態へ。
よかった。よかった。
とにかくよかった!と繰り返し思う。

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色々な気持ちが散りばめられ、ひとときに凝縮され、また静かに広がっていく
ような。
想像していたとおり、想像した以上に贅沢な楽しさの629!
小さくてカラフルで大切な宝物を集めたみたいな一日。
振りかえるのがせつないほどに。
在ったのは、とても大切な断片。
保存すべき大切な断片。

いつかその幾つか、629を巡る断片の幾つかを忘れてしまったとして。
それでも、それらがどれほど大切だったかを思い出すことは、簡単にできる
のだろうと思う。

629を巡る幾つかの断片、または、some pieces to cherish!
全てを挙げられないのがもどかしいくらいにすてきな一日だった。

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<ふたりのビッグ(エッグ)ショー>

春一番/OPENING/いこう/ところで/四時五分/大バカ者/
〜風まかせ〜/境界線/ねぇ/する〜/遊園地/地下街/人生芸無/
サヨナラバス/からっぽ/雨と泪/手紙/月曜日の週末/始まりの場所/
シャララン/センチメンタル/くず星/心のままに/夏色/贈る詩/
3カウント/少年/友達の唄
<アンコール>
嗚呼、青春の日々/飛べない鳥/いつか/
シュビドゥバー/蛍の光/てっぺん


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