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2005年05月08日(日) 凶暴な植物

 この時期に帰省するといつも植物は凶暴だと思う。いや別に、引き抜かれる時に叫び声を上げそれを聞いた者は死ぬとか、ましてやそれがきんどーちゃんで「キャーッ!」って叫んでるとか、そういう話ではなくて。

 この季節の田舎では、土さえあればそこにはびっしりと草が生い茂り、丈を伸ばしてあっというまにジャングルのような状態になる。それが家の敷地内であろうと、畑であろうと、道路であろうとも。そこが土でなくても、コンクリートの割れ目から、石垣の隙間から、太陽に向かって貪欲に茎を伸ばして花を咲かせたりする。大葉もパセリも、勝手に2メートル以上に茂っていて上の方は手が届かなくて収穫できない。

 満開の藤の花は、はるか上方、杉や檜の樹の天辺にべろーんと覆い被さって咲き誇っている。私は大人になってから美しく整備された藤棚を見るまで、和歌などで藤の花が「美しい風流なもの」として扱われているのがどうにも理解できなかった。野生の藤は、山の樹という樹にべろーんと被さっている、このうえなく厚かましい植物なのだ。

 そんなことを草に埋もれかけた実家で思う。父は「都会の人は自然がいっぱいでいいですねえなどと言うけれど、一回草刈りしてみろってんだまったく」と嘆く。今回、草刈りして帰ろうかなと一瞬考えたけれど、今刈っても来月の法事までにはまた元通りだろうと思うとやる気が出ない。来月ちょっと早めに帰って植物の凶暴な勢力と闘わなければ。


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