Diary?
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タイトルで色っぽい話を期待してしまった方には大変申し訳ない。え、誰も私にそんな話は求めませんかそうですか。なにっ失礼なっ。いやでもあなたは正しい。だって今日は食べ物の話なんですもの。
私は京都府北部の出身である。実家から30分も車で走ればそこはもう岸壁の母の港町。この港町で3歳まで暮らしていたのだ。鉛色の日本海、波ざっぱーん、空どんより〜、である。と言うと「えっ京都って海あったのか」と驚かれる確率が非常に高い。あるんです。あそこも京都府なんです一応。ちなみに近畿地方で海が無いのは奈良県と滋賀県である。滋賀県にはなんかちょっと大きめの池があるらしいが。あ、ごめんなさい怒らないで下さい滋賀県の人。京阪神の水がめですよね、素晴らしい。
で、昔の国名でいうと丹波とか丹後とか、その辺は人が思い描く「京都」からは大変離れているために、もう全く文化が違う。言葉も違えば食べ物も違う。言葉は、かろうじて関西弁のバリエーションだなあというくらいのもんで、どちらかといえば北陸寄りだと思われる。食べ物も、局地的にうどんじゃなくて蕎麦だったり、昔から納豆を食べたりとまるで雅びな香りはしないのだった。
特に海の幸については、日本海だし若狭湾だしこれも殆ど北陸の様相を呈している。蟹、甘海老、笹鰈、鰤の世界である。東京に来るまでほっけという魚の存在を知りませんでした、はい。ほっとけ。なんてな。なんなんだ今日の変なテンションは。それで何の話かといえば「鱚」についてなのだ。きす。キス。KISS。
一般的には鱚は開いて天ぷらにしたりする、ちょいと高級な魚である。が、そうと知ったのもまた家を出てからなのだった。近畿北部において鱚は、干物なのだ。他の地方の人にこれを言っても信じてもらえない。目刺で一夜干しになってて、それが5、6匹イカダ状に串に刺して焼いてあって200円くらい。スーパーにも売ってるし、行商の人が持ってきたりもする。買って帰ってちょっと炙って醤油をたらしてご飯のおかずにわしわし骨ごと食う。というものなのだ、鱚ってのは。「沖ぎす」といって大きさは15〜20センチくらいある。
あまりに普通に食べていたのでローカルフードだとは気付かなかった。家を出て暮らすようになってから、ふと「沖ぎすが食べたい」と思ってスーパーに行ったら売っていなかった。あれー、と思ってよくよく探してみたらすごく小さいのが、開いて天ぷら種として売られていた。しかもめっちゃ高い。わけわからん。
わけわからんまま長い年月が経って、時代は変わって調べものには大変便利なインターネットというものが普及している。この間帰省した時に買って帰って冷凍庫に保存してある沖ぎすを、焼いてビールのつまみにしながらふと検索してみた。いろんなことが判明してすごくスッキリ。インターネットばんざい。偉いぞTCP/IP、ヴィヴァ!ワールドワイドウェッブ。
丹後の海の生き物(ニギス)
ま、要約すると沖ぎすは鱚じゃなかったんだけどね。ようやくわかった、なんてな。ヴィヴァ。あ、そのページ見てて思い出したけど、鰈も笹鰈しか知らずに育って、初めて「切り身」でマガレイとかを売ってるの見た時はそりゃあびっくりしたぞ。
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