2010年08月08日(日) |
精霊モノガタリ途中経過その2 |
昨日の続きから。
やっと精霊とか契約者・誓約者とはって話が入ってきたので、ここまで読めば多少設定が理解できるかな。説明不足だらけなのは百も承知なんだけどね。
ちなみに、世界設定が当初は機械化されている近未来系の設定にしてたけど、途中から中華ファンタジーのイメージが強くなってしまったので、せっかく作った設定がまったく使えない方向に進んでるんだよねぇ。 とりあえずその2をUP。その3まで続くよ。その次は過去編をアップする予定。
========================================================= 「なぁ『白蓮』、誓約者って実際いるのか」 <<えぇ、私の記憶の中では二人存在しました>> 「本当か?聞いたことないぞ」 <<聞かれたことがなかったので>> 「そうだよな、お前は聞いた事しか答えないし。聞いても答えてくれる保障もないと」 <<あなたは力の強い契約者ですから、聞かれればほとんどお答えしていますよ?>> 「そうだったな。前王が愚痴をよく言っていたからその印象が強いんだ」 <<前の契約者は場つなぎ的に選んでしまいましたから。ちょっと悪いことをした気がします>> 「お前が気に病むことはないさ。一度でも国の頂点に立てたのだから」 <<そうでしょうか>> 「それより、誓約者についてもっと教えてくれ。その二人いたのはどんな奴だった?」 <<一人はこの国の王女でした。のちに賢王とよばれた朱鈴。あなたも名前くらいは聞いているはずですよ?>> 「あー、そういえば聞いた気がするが・・・俺は歴史は苦手なんだよ」 <<そうでしたね。朱鈴の存在は、もうとっくに歴史となっていたのでしたね>> 「あった事あるのか?」 <<えぇ。彼女が幼い頃から最期の時まで、見守っていました。彼女は、私より高位の精霊の誓約者でした。本当に強く美しかった。彼女と出会いすごした日々はとても大切な記憶です。ですから私は、彼女の血筋から王となれる者を契約者に選んでいます>> 「それも初耳だな。血筋で選んでいるのは知っていたが、そんな話があったとは」 <<あなたほどに強い契約者に恵まれなかったので、しゃべる機会がありませんでした。あなたは歴代の王の中で彼女の次に強いのですよ。まぁ彼女の足元にも及びませんが>> 「それは、喜んでいいのか悔しがればいいのかわからんな。で、もう一人は」 <<西の大陸にいらっしゃいました。最上級といっていい精霊と誓約を交わした誓約者がいたと聞いています。彼はその力をほとんど使うことなく、一介の鍛冶屋として生を終えたそうです>> 「力を使わなかった?しかも鍛冶屋か」 <<えぇ、誓約していた精霊と話す機会があって、愚痴を聞きました。せっかく誓約できたのに、ちっとも呼んでくれなかったと>> 「珍しいやつもいたもんだな。俺だったらかなり使うけどな」 <<かの精霊は力が強大すぎたのもあったのかもしれませんね。私がちょうど朱鈴と契約できた時期でしたので、ひどく羨まれました>> 「おもしろいもんだな。精霊の話は」 <<人よりは、退屈かと>> 「そうか。精霊から見たらそんなもんか。そういえば、精霊はなぜ人と契約するんだ」 <<精霊は自然から生まれます。ただ、生まれた後、特に何もすることがないのです。生きとし生けるものはそれぞれ役割を担って生きています。その役割が精霊には与えられていない。世界に必要だといわれていないのです。ですから、自分を必要としてほしいという欲求があります。特に力の強い精霊はその感覚が強いのです。ですから力の強い人間と誓約・契約しようとします。私を含め一部例外はありますが>> 「例外か。『瑠璃』もそうだな」 <<元が擬似精霊だったからなのでしょうか。もともと求められて生まれたので、多少自分中心に物事を考えるようです>> 「お前も例外か?」 <<私は彼女の血を受け継いでいる国の王となれる器のあるものの中から一番力の強い者を選んでいます。どれだけ力が強くともこの2つの条件を外れている者を選ぶ気にはなれません>> ですからあなたも王の器はあるのですよ、と続けた『白蓮』に苦笑いを返す。 「そういえば、契約と誓約はどう違うのだ?」 <<契約は人から精霊へ行われます。人がいくら望もうとも精霊は拒否することができます>> 「それは俺が契約したときに聞いたな」 <<えぇ。そして、契約は契約者の資質以上の力を精霊に行使させることはできません>> 「たとえば前王が断り続けられたようにか」 『白蓮』は苦笑しながらうなづいた。 <<そして、精霊と契約者どちらかが契約解除を申し出れば解除することが可能です。前王にはあなたが契約できるようになった段階で解除していただきました>> 「そうだったな。で、誓約はどうなんだ?」 <<誓約は精霊から人へと行われます。これは精霊より人の霊力がかなり上でないと拒否できません。そんな人間ほとんどいませんから、精霊が気に入った人間に無理やり誓約します>> 「無理やりなのか。それはまた」 <<また、誓約は精霊から解除できますが人からの解除はできません>> 「どこまでも精霊上位だな」 <<ただ、誓約者本人の資質は関係なく力の行使が行えます。精霊の意思には反することはできませんが。その点も、気に入った人間にはいくらでも力を使ってほしいと思うのが精霊ですから、よほどのことがない限り誓約者の願いを断ることはありません>> 「ということは、例えば俺とお前が誓約でつながっていれば、他の国をすべて滅ぼせといえばやってしまう可能性があるということか」 <<まぁ、私にはそこまで力がないので、実際はありえませんが、極論で言えばそういうことになります。ですから、今回の『瑠璃』の予言は少し留意すべきかと>> 「そうだな。西の大陸でおとなしく鍛冶屋をやってくれる保障はない。誓約者がどこに出るのかわからんか」 <<たぶん難しいかと。もしかしたら、今回の誓約についてはこれ以上話せなくなる可能性も出てきます>> 「どういうことだ?」 <<予言で告げられた精霊がかなり高位だからです。『瑠璃』が名前を言えない時点でかなり高位ですが、私が探ってもそのような精霊の存在を探知できない。高位の精霊が突然出てくる事はほとんどないので、たぶん隠れているのでしょう。その場合、私を従わせる事のできる精霊である可能性があります>> 「その精霊が言うなって言えば、言うことはできなくなる、か」 <<えぇ>> 「とりあえず、できる範囲で探知しておいてくれ」 <<わかりました。あまり期待はしないでください>> 「あとは、誓約者ってのが善人であることを願うのみだな」 <<えぇ、本当に>>
その願いはかなうこととなる。本人たちは気づくことはなかったが。 ========================================================= その3に続く・・・。
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