【Realistic Pillow】
秋野京



 ボツネタ〜出逢い編(ホムコン)

突然俺の視界に飛び込んできたのは金色の光。
それはほんの一瞬の出来事だったけれど。
あれから数日経った今も俺の意識はあの日に
立ち止まったまま…

人間と天界人の間に生まれた俺は異端の者として
この天界では扱われている。俺の右眼は異端の証の
金晴色。ここでは誰もが俺を疎み、蔑む。…別に
それも悪くはない。誰に干渉されるわけでもなく
俺は俺でいられるのだから。

「何じろじろ見てやがんだ」それがあいつの第一声。
俺を真っ直ぐ見据える瞳の色は吸い込まれそうな、
深い紫暗で。俺は思わず息を呑む。

二度目の出逢いは本当に突然で。偶然で。
ずっと探していた大切な何かを見つけたような。
そう。多分それが幸せの始まり。

「恐ろしくはないのか?俺のこの瞳が」
自嘲気味な俺の問いかけに、事も無げにあいつは言った。
「バ〜カ。そんな色、珍しくも何ともねぇんだよ」
そして鬱陶しそうに、肩に掛かった金髪を背中へと流した。
「そうだろう?」
俺を見つめる瞳はやはり真っ直ぐで。それが嬉しくて。
知らず笑みがこぼれた。


あの日手に入れた真実は今もこの胸に刻まれている。
……金蝉……

          end.

2001年02月02日(金)
初日 最新 目次 HOME


My追加