ホームページ制作 生活綴り




 生活綴り  咲紀




2003年05月10日(土)  鎖骨につけられた唇は

手を繋いだ。
指と指を一本ずつ絡ませて繋ぐ繋ぎ方だ。
いつもの繋ぎ方だ。

この繋ぎ方をするのは肉体関係のある者同士だと
ある恋愛心理の番組で言っていたことを思い出した。

少し恥ずかしくなって自分から繋がれた手を離してみると
いつものように

「どうしたの?咲紀さん」

と首を傾げる。


17時頃の新緑の公園は気持ちよく
5月末に買い換える携帯の最新機種のカメラが
凄いんだよと自慢げ言っている横顔を見る。

この人は大きな子どもみたいだと思う。


夕飯はその公園から20分ほど歩いたところにある
魚の創作料理の店にした。
お互いに初めての店だったが、この人の選ぶ店に
今までに外れはない。

文句なくおいしい。
この人の直感はいつも正しい。
その事を改めて痛感させられる。

そう言えばこの2年間一度もチェーン店の居酒屋に
連れて行かれた事がなかったのに気付いた。


夕飯で私はチューハイを2杯。
向こうはビールとチューハイを1杯。計2杯。


二人ともほろ酔いだ。


でも時間はまだ19時半。
お別れするにはまだ少し早い。


「まだ帰りたくない」ということを伝えると
「部屋に戻ろう」と言う。


部屋に戻る頃には、なぜか酔いがまわっていた。
よく考えるとお酒を飲んだのは2週間振りだ。
まわって当たり前かもしれない。


酔った私をベッドの上で膝枕をし、
頬を撫で、額にかかっている前髪を弄びながら

「1時間したら起こすから。それまでゆっくり寝なよ。
 こんな真っ赤な顔で帰ったらお母さんがびっくりするよ」

といい、楽な姿勢で眠れるように私のジーンズのボタンをはずし
団扇で風を送り続けてくれた。

「お茶、飲む?それともアイス食べる?
 チョコのとこだけ食べてバニラの部分は残しても、
 今日は怒らないから食べなよ」

と世話を焼き続ける。どれも拒む私。


からかうような口調で

「一緒に寝てくれないと大人しく寝てあげないよ」

というと、私の横に身を横たえ手はずっと背中をさすっていた。


「これでいい子に眠れる?」

と言われ、「うん」と頷いた。
 
「良い子で寝ようとする咲紀さんへのご褒美はないの?」

ときくと、額に軽く唇をつけてくる。

それが段々下に移っていっても拒まない私。

眉間、瞼、鼻、唇、そして鎖骨。

拒まない私。

鎖骨につかられた唇はとても熱くて
考える能力なんて一瞬でとんでいってしまっている。

耳を触る手や真剣に見つめている目。
全てが愛おしくて仕方がない。

「咲紀さん、イヤ?」

と聞かれると

「イヤだと思ってると思う?」

の言葉が最後の引き金になり
あとは流れに身をまかせたた。



帰りは玄関で軽く2回キスをした。
最後はお互いに軽く抱き合った。



BBS←よろしくお願いします

<< >>