日常

2006年02月10日(金) 2月6日。雪。

2月6日、日記を書いた後に気付いた。

アタシの中に、別の誰かがいた。

何も考えられないのも[ヤツ]のせい。




あれだけ愛しいと思っていた彼氏のこと、何も思わなかった。
涙も出なかった。
アタシの中に誰かがいた。


アタシは、雪の降る外へ出た。
目的地も決めずに、どこまでも歩いて行こうと思った。
目的さえもわかっていなかった。
だけど、どこかに着いたら、きっと、何か考えられるようになるんじゃないかと思った。
どこまでも行こうと。
15分くらい歩いたところで、行き先を決めた。
JRで、最寄駅より、ひとつ西の駅。
そこまで歩いて、考えられるようになったら電車で戻ろうって決めた。
考えられなかったら、歩いて帰ろう、って決めた。
そこから約5分。
彼しからメール。
話すなら連絡して、って。
アタシは、考えられるようになったら帰る。とだけ返した。
彼氏から電話がかかってきた。
今どこにいるの?って。
自分がどこにいるのかは、ハッキリわかってた。
だけど、目印になるような建物がなくて説明できない。
だから、来た道を説明した(西に歩いて北に歩いてる)。
何やってるの?って聞かれた。
わかんない、としか答えられなかった。
考えられないから、歩いてる、って言った。
やっぱりもう一度、
帰ってきなよ、って言ってくれた。
でもアタシは、何故か、歩く事を強く決めていて、いやだ、と言った。
それだけじゃなく、何で?と聞き返した。
危ないからだって、帰っといでよ、って言ってくれた。
それでも拒んだ。
そうしたら、
帰ってこないなら別れる!って言われた。
帰っても別れるって言うくせに、って言ったら、
あぁそう、って言って、電話切られた。
何も考えられないくせに、このときは何故か、そこで引いちゃいけない気がして、電話をかけ直した。
わかった、今から帰るから、たぶん30分くらいで帰る。
外に出たのが22時、このとき22時25分。
なんでそんなに時間かかるのか聞かれた。
外に出た時間を説明したら、今どこにいるの?ってもう一回聞かれた。
だけど、同じ答えしか返せなかった。
帰ったら連絡する、それだけ言って、強引に電話を切った。
同じ道を帰りながら、いろんな事が頭の中を過ぎていった。
考えてたわけじゃない。
考えられないのに、妙に頭がハッキリしてた。
それがすごく気持ち悪くて、アタシは酒の力を借りた。
コンビニで酒を買って、歩きながら飲んだ。
でも、いつもなら酔う量で、少しも酔わなかった。
ゆっくり、寄り道をしながら、帰りは50分かけて帰った。
帰ってから、着替えて、彼氏の部屋に行った。
今度は、話そうにも言葉が出ない。
ここにきて酒も回ってきた。
最悪だ。
相変わらず考えられない。
彼氏は、別れたくはない、って言ってくれた。
それでも、何も浮かばなかった。
とりあえず、その場から、逃げたくなった。
わかんないから、時間頂戴。
それだけ言って、逃げようと思った。
どれくらい?って聞かれた。
明日、って言ったら、今日中、できるだけ早く、って言われた。
仕方ないから、1時間って答えた。
その間に、考えられるようになるかどうか、まったくわからなかった。
お風呂に入って、ゆっくり考えようとしても、相変わらず、思考はハッキリしたままなのに、何も浮かばなかった。
1時間後、彼氏に連絡した。
答えだしたから、って。
本当は出てないのに。
彼氏に、もう一度会ってみても、それは変わらなかった。
だけど、感覚では、別れちゃいけない、って言ってた。
だから、付き合って行きたい、って言った。
この後は、正直よく覚えてない。
少し、会話に区切りがついた時に、アタシが彼氏に要求をした。
「(彼氏のバイト先の男の先輩)NさんNさんって言いすぎ、自分の考えはないの?
二人のことなんだよ?自分の考え、聞かせてよ。」って言ったら、
「1回目の大きな喧嘩の時、俺マジ別れるつもりだったんだぜ?
 それを落ち着いてもうちょっと考えてみろって言ってくれたのNさんなんだよ。
 別れなかったのNさんのおかげなのに、そういう事いうわけ?」って言われた。
このとき、アタシの中の[ヤツ]が、急に大きくなった。
アタシの中の不安定な要素が、急に増えた。
もう何も聞きたくなくなって、出来るだけ体を小さくして、耳をふさいだ。
少しだけ、何か言葉を発した事は覚えてる。
それを聞いて、彼氏がまた、何かを言ってた。
だけど、力いっぱい、耳をふさいで聞こえないようにしてた。
そうしたら、彼氏が近づいてきて、後ろから腕を回してきた。
アタシの中の、何かが外れて、恐怖でいっぱいになった。
 こわい!
 いやだ!
 やめて!
 はなして!
この言葉を連呼して、力いっぱい腕を払おうとした。
逃げられなくて、必死で足掻いた。
ようやく、離してくれた。
触れられない距離に逃げて、さっきよりも小さく座る。
きっと、ずっと、
 いやだ、
 やめて、
 こわい、
これを呟き続けてた。
この後も覚えていない。
何度か、彼氏が近づいてきて、背中に触れたけど、それも全て拒んで、逃げた。
逃げられなくなったアタシは、反対側に逃げた。
そして、多分、唐突に言ったんだと思う。
「基本的にね、別れるつもりはないよ?けどさ、」
そのあともよく覚えて無い。
だけど、彼氏に言われたことと同じ事を彼氏に言ってたんだと思う。
彼氏が、ごめん、って言ってたような気がする。
多分、言い終わって、外を見てた。
雪、積もってたのかな・・・空を見上げてたから、よくわかんなかった。
何故か、空がアタシを呼んでる気がして、また外に行きたくなった。
外行きたい、そうやって呟いた。
何で?って、また、聞かれた。
こんどは、空が呼んでることとか、
少し前の日記に書いた事を、よくわからないけど、揺れながら喋った。
アタシね、汚れてるから、雪のなかでお散歩して、
真っ白になるんだよ?
きれいになるんだよ?
あぁ、今日、白いコートで行けばよかった、そしたら白くなれたのに。
ずっと繰り返してた。
少しして、彼氏の方を振り返って、
ねぇ、外行こうよ?って言った。
そうしたら、彼氏は、
ほんとうに___なの?そこにいるの___なの?って聞いてきた。
アタシがその何時間か、ずっと感じていた事を、言われた。
器はアタシだけど、中に、きっと別の誰かがいる、そう思ったから、
ぅん、としか言わなかった。言えなかった。
曖昧なままで受け答えをしていたら、
彼氏は、涙を流しながら、
俺が___を傷つけてたんだね、俺の何倍も傷ついてたんだね、ごめんね、ごめんね、と謝罪の言葉を繋いだ。
アタシなんかのために、涙を流しちゃいけないと思ったアタシは、
落ち着こうよ、ね?と、抱きしめて、
大丈夫だから、と、なだめて、
泣かないの、と頭を撫でた。
ねぇ、ほんとに___?と聞かれても、大丈夫だよ、とだけ。
少し寝なよ、と横にさせて、大丈夫、アタシはここにいるよ、と眠らせた。





3日経った今でも、
[ヤツ]がアタシの中に潜んでる気配がする。
気付かないフリをしてるけど、きっと、潜んでる。
アタシは、誰に支配されてるんだろう・・・。

[ヤツ]に支配されてる間の言動で、人を傷つけているのかと思うと、心がいたむ。



[アタシ]を、アタシのために取り戻さなければ。


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侑貴 [MAIL] [HOMEPAGE]

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