2008年08月24日(日) |
■SISTERS-千秋楽 |
激しくネタバレな上に、大変、思いこんだらなので、 特に●●ノワールの方は、ご覧にならない方が、懸命です。
8/1(金)に見た私の4回目『SISTERS』の馨は、コワイ人だった。 ホラーちっくというのだろうか、 普通の人間の怖さが一番恐いんだと思ってしまった。
もちろん、幼い頃、父親から性的虐待を受けた傷を癒せず、 不安定な日常生活を送る馨は、フツーとは言い難い。 でも、彼女には、例えば父と妹が死んだ時、 泣き崩れはしたが、一緒に死を選択しなかった。 実は、(本人は気が付いてないが)強いのである。
本中に、作家の神城が、 「生きることと」「死ぬことと」を瞬間、瞬間に選択するような、 生き方ではなく、もっと些末なことを選択しようよ、みたいな台詞を、 云うのだが、馨は、なんだかんだと些末な選択をしてきたのだ。 フツーの、人間だから。
そして、その、フツーの人間が、 全部、自分の思い通りにしようとするのが、怖かった。
そして、ほぼ三週間ぶりに見る馨は、女のエゴ丸出しだった。 彼女は弱々しく庇護を求めているのだが、(それも無意識に) けれども、それだけではない。
なんだかんだと、夫を振り回し、 「これっきりだから」と、常識的に考えたら、叶えにくいお願いも、 (そりゃあ、危篤のおかんの所に、嫁が行かないわけいかないだろう。 伸介さん、長男ぽいし) 本当にこれっきりだからというのを差し引いても、 お願いを聞いてもらっている。
やはり同じように父親から虐待を受けている美鳥を救おうというのは、 彼女への同情心、彼女を救うことによって、自分の傷を乗り越えようと、 する一種のセラピー療法もあるのだろうけど、それより何より、 父親と妹を引き離したかった!
女だね、馨。
こうして、『SISTERS』は、万華鏡のように色を変えて上演されていったように思う。 それは、生意気な云い方をすると、テキストの理解を深めたというよりは、 印象というか、目的が変わってしまったといった方が、 私的にはしっくりする。
それは芝居が洗練されていったり、絵の具だったら、色が濃くなる感じとは、 又、違うのだ。
だからかもしれないが、ラストで感じたのは、(インタビューで云われた)希望ではない。 伸介さんが迎えに来てくれて、良かったと思うのだが、 いや、終わってくれて心底良かったとは思うのだが、 それ以上の感想って、言葉にしにくいのだ。
この話しのテーマである、性的虐待や近親相姦が、 単なるネタにしか使われてないというか、紙の上の出来事という印象が、 どうしても拭えないのが、最大の要因かもしれないのだが。
と、いつもなら、ここで卓袱台ひっくり返しなのだが、(ノ`´)ノミ┻┻ ファンの欲目があったとしても、松たか子さんをはじめてとして、 役者陣の奮闘と、何より演出の(ご自分でやっているから、当然という、 ワケではない)おかげで、観られる舞台であったのは確かです。
ありがとうございました。おかげで、松さんと一緒に濃密な時間を過ごせました。 ↑って、合計5回みただけなんですけど。 そして、ヒロインが松さん以外の役者さんだったら、
(ノ`´)ノミ┻┻ て、こんなことになっていたんだろうな。。。私、正直ものなんで。
でも、松さん以外では難しいと思うでげすよ。 と、いうわけで、以下はいつもの箇条書きで大千秋楽レポ。
*稔子さんは、最後、ちゃんと正気に戻っていたというのが、初めて判った。 −でも、それって今回、たか子ビジョンじゃなかったから?? *伸介さん、優しいですね。今回、改めて。 優しいから、多分、あんなヤンデレが、好きというのを、もっと出して欲しいよ。 *信助と、美鳥と礼二して、よく(ノ`´)ノミ┻┻ をやってたなあと、思った。 多分、邪魔なんだからなんだろうけど。 結構、皆、勢いよくやっていたのが、ストーリーを追わずにみると笑えるかも。 *メバルじゃないよのアドリブは、イサキに戻っていた。 そして、海の鶏肉でした。 *操子さん役の堂脇さんは、千秋楽に出てらした。美人だった。 *カーテンコールの時、長塚さん、水の中に突き飛ばすのかと思った。 *どうせなら、稔子さんも優治さんと血が繋がってることにすれば、 良かったのにと思った。すると、全くの他人なのは、馨だけになるのに。 すると、信助と馨の関係性は、愛だけというのが、浮かび上がるかなあと。 *打ってて、気が付いたのは信じて、助けるんだね、信助さんって。 *美鳥の制服のウエストの位置がめっちゃくっちゃ気になっていたんだが、 大阪では、大丈夫だった。・・・・・・・ハードだったもんね。公演。 *大千秋楽、総てをやりきって退場していく松さんのピースサインが美しかった。 あれだけでも、観に来て良かったと思った。
*でも、演技的には、最初の頃の運命に翻弄されちゃいそうになりながらも、 懸命に立ち向かっていくのが、好きだったなあ。
優治に襲いかかるのも、礼二にぶるぶる震えちゃうのも、東京最初版の方が、 自分の欲が無い分、懸命さが表現されていたと思うので。
そんなワケで、東京公演を収録した DVDの発売が楽しみです。 まだまだ、SISTERSは終わらないということで。
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