1.心身症を患い気味の舞台女優と、
アル中の数学教師のダンナと、
スペインのTOP女優の妹と、
二人の娘の凡庸な母親と、
母の新しい恋人の不動産管理をしている男、
この5人が繰り広げる危うい関係の愛憎劇は、
しかし、ある瞬間、
2.演じる役者達自身のインタビューになり、
演出家への問いかけになり、
衣装係の愚痴になり、
3.そして、ある時は、舞台女優のヒロインが演じている、
「ブルガリアの芝居」になるという、
何重にも重ねられた入れ子構造のなかで、
浮かび上がるのは、「愛」についての狂おしい問いかけ、
ということことなのですが、、、、、
云いたいことはなんとなく、判るのですが、
ぶっちゃけ、二層目が邪魔なんですけど。。。。
でも、多分、これが売りの一つ。。。
いえ、俳優達の想いといっても、結局、作者が書いた、
俳優の言葉ということになりますよね。
なんというか、映画も演劇も作り物ということは、判っているんだから、
そこはもう触れちゃいけないお約束なのに、こう、演じている俳優が、
今までの演技で、こっちはその自分が喋ってますって、
だって、それも結局は、作家が書いた言葉ですから。
それが、演劇好きな人は、こうゆうの好きでしょう?
みたいな感じで、イマイチ乗り切れず。
もし、そのインタビューの場面で、他の女優の悪口やら私生活のことを、
もっと触れていたら、印象は違ったのでしょうが、
スペインの芝居をやっている、人達と、その役の俳優があんまり違わなかった、
(誰でも北島マヤ@ガラスの仮面、のように演じているとは思わないですが、(笑))
=結局、スペインの芝居の延長戦の、域を出ず、
だったら、この「スペインの芝居」5人の人間関係を素直にただ、
描いてくれればいいのにと、思いました。
映画女優として成功した妹にコンプレックスを持っている舞台女優の姉。
普段はいがみ合っているのに、母の恋人と、もう一人の妹のことには、
共同戦線を張る二人。結局、判ってない母。母を庇う恋人。
傷つけてしまうことしか、出来ない夫婦関係。
もしくは、もっとぐちゃぐちゃにしてしまうとか。。
そんなこんななので、前半は、ちょっとワープした所が。。。
後半は、それなりに引き込まれたが、後で思い出してみると、
で、結局、「スペインの芝居」って、どうなったの?という疑問が。。
こう、事件は解決しないまま終わってもいいんだけど、
それは、この3層式の構造のせいで、いや、この方法を取っちゃったから、
普通の舞台なら、ダンナさんの心情吐露で終わってもいいのが、
なんか、もやっとするのかしら?
ラスト場面は、ちょっとほろっと来たのですけど。
でも、それは毬谷友子さんの劇中場面で、愛した男のために、一曲、ピアノを
弾く。舞台が通常のセットと違っていて客席使用スペースを舞台に作っていた
ため、えっ?じゃあ、どこからピアノを持ってくるんだろうと思っていたら、
客席の一番後ろのカーテンが開いて、ピアノが出てくる。
真ん中の通路を上って、ピアノに向かうヒロイン。生演奏。
私の席、後ろ側の通路側だったので、ピアノを弾く場面がばっちり見えたのと、
その前の彼女の台詞に、じーんとしてしまったのですが、
でも、それはクライマックス的に盛り上がった感情とは、違ったような気がする。
いや、お話しにのめり込もうとすると、変な二層目が邪魔をする。。。
結局、ふーふはどうなったか判らない。いや、そのままのような気がするけど。
そうゆう意味で、なんか勿体ないなあと思いました。(あくまで私的になんですけど)
美術セットは、素晴らしく、ちょっと書きましたが、
普段ステージとして使っているのを、客席に使用したため、
ステージのすぐ後ろには、出入り口が。遅刻したら、入るの大変でしたね。(笑)
でも、おかげで劇場がいつもより広々と俯瞰できました。
帰りに、美術もじっくり見れたし、役者が使っていたオレンジやらケーキを、
見られる機会ってそう無いじゃないですか!
それだけに、テキストが勿体ないと、思わずにはいられないのでした。