松岡和子さんが、シェースクピアのエッセーで、デズデモーナの
若いオセローが見たいと熱く語っていた時から、妻は14才!で、
いつか見たいと、悶えていた所に、蜷川さんがやってくれたので、
これは、面白いかなと思っていたら、想像以上に面白かったです。
ぶっちゃけて云うと、オセローは、無骨な黒人将軍が、
若くて愛らしい妻を、めとったのですが、あんまり可愛すぎて、
どうして、この女が、自分を愛してくれるか信じられてなくて、
彼を陥れる換言に、ころっと騙されてしまい、妻が不貞を働いている、
信じてしまい、ついには妻を絞め殺してしまうという、話しなのですが、
4時間弱があっという間でしたよ。
うそ、ちょっとこっくりしたんですが、でも、本当に面白かったんです。
私は、単に吉田鋼太郎さんのオセローが、蒼井優演じる、デズデモーナ、
に、らぶらぶー、あの身長差と体格差が、たまらん〜
思っていたのですが、蜷川さんのオセローは、それだけじゃなかった。
高橋洋さん演じるイアゴーが、なんかナイーブで、どうして、副官に、
なれなかった位で、この人、どんだけオセローに意地悪するのかしら?
嫉妬深いから?と、いう疑問が初めて浮かんで、
(だって、話としては成立するから)同時に謎が解けた。
それは、多分、オセローが好きだったから!
だから、オセローの愛を勝ち取ったデズデモーナが、羨ましかったのね。
だって、副官になれないだけだったら、新しい副官のキャシオー、これが又、
二枚目なだけのお莫迦さんなんだけど、を陥れるだけで良かったんだもの。
なんで、そんな思い込みをどうどうと書いて居るかというと、
オセローにないこと、ないこと、吹き込んで、自分の妻が、部下と浮気していると、
思って悶え苦しむオセローが、イアゴーに救いを求めるように、抱きついた時の、
イアゴーの切ない表情。一緒に苦しんでいた。(と、思う)
同じことを、デズデモーナが、夫の部下のイアゴーに悩みを、
相談し、助けとばかり、抱きついた彼女を抱き締める時の、戸惑った表情。
騙しているだけなら、ニヤリで済むのに、彼のイアゴーには一瞬、迷いがあった。
迷っている、どうして、この女を哀れに思っているのか、不思議そうな顔をしていた。
それは、復讐以外の自分の感情に気が付いて居ないからでは、
ないでしょうか!
というわけで、いつもより目一杯ドリーマーでお送りしましたが、
なんか、こう自分が想っていた「オセロー」とは、違うものが、
しかも、興味深い見せつけられただけで、大変満足なのでした。
やっぱ、蜷川さんって、スゴイのね。
とは思いつつ、ちょっと勝手に考えたことを。
蒼井優さんのデズデモーナ、可愛くて、柔らかいし、か細いし、折れちゃいそう
なんだけど、それだけじゃなくて、オセローがメロメロなのは、よく判るのですが、
やっぱセリフ術が拙い所があって、それはそれで、この芝居のデズデモーナの
役所には合っているんですが、バランスというか、馬渕さん演じる、イアゴーの妻、エミリア、良かったんだけど、もうちょっと肝っ玉さんでもいいかもと、思った。
蒼井デズデモーナの幼さを引き立てさせる為には、お姉さんより、
お母さんが、いいかなと思った。
多分、前に見たのが、三田和代さんだったから、それ引きずっているのかもだが。
ついでに云うと、私のベスト「オセロー」は、実は阿部一徳さんかも。
ガタイといい、声といい、ドンピシャです。
そして、更についでに云うと、蜷川さんの失敗「オセロー」って、ドーラン塗った、
アレですか?と、心の中でツッコンデミタリ。まあ、云っちゃえる所が、蜷川さんの、凄さですよね。周りはドキドキだけどさ。
後、大宮の一つ手前の駅で、4時間弱の芝居は、ちょっとツライかもしれないと、
思わずにいられませんでした。日曜日に観に行って、本当に良かったわ。