ロビイングお為ごかし。
あれがしたい。「大好きだよ」 だからする。 もういいや。 あれがしたい。「一番だよ」 これが欲しい。「大切だよ」 だから手に入れる。 もういいや。 これが欲しい。「特別だよ」 それに関わりたい。「必要だよ」 だから関わる。 もういいや。 それに関わりたい。「最愛だよ」 きしむ午後の空気に幾つもの音が流れる。 単音ではない短音が聞こえているのだろうか。 安易に掴んだ尻尾を所有するそれは、 足りないものに気付けない目が見せることのできる限界だろうか。 それとも足りないものに気付けないが故に振り返る偶然だろうか。 「もう居なかったから歩き出したの」 遠く見晴るかす。 見えるのはいつか見たものばかり。 待っているのは幾度も繰り返したことばかり。 素知らぬふりで互いにまた始めよう。 虚構の舞台を演じよう。 空っぽの言葉を贈ろう。 そして離れて行こう。 見えても見えなくても同じ結果を今日も転がす。 |
零と壱の綴れ織。 | ||
過去 | 一覧 | 未来 |