「昔は一日働いて、酒が1升買えんかった。いまは安くなったものだ。」 もう数年前に他界された酒販店の御主人が、よく口にしたお話です。
昭和20年代から30年代当時、土木作業場に人足にいき、夕方もらった日給で酒屋さんに行っても1升買えなかったそうです。
酒飲みはやむをえず、量り売りで2合とか4合とかのお酒を買い、残りを家計に入れたそうですが、この当時は御主人が大酒飲みだと家が傾くということが現実にあったようです。
今では家が傾く前に、自分の体が持たないでしょう。お安い酒なら時給程度で1升買えてしまうのですから。
現在の物価水準に比べ、相対的にお酒の価格が安くなったわけで、この稼業がはやらないわけです。
ここでちょっと算数の問題を・・・。 アルコール分13%(お安いお酒は、酒税節約のため、アルコール分が2%ほど低いものが多い)、1.8リットルで小売価格1.000円のパック酒の酒税はいくらでしょうか?
ヒント アルコール分15%の清酒1000リットルにかかる酒税は140.500円で、これを基準とし、1%増減するごとに9.370円増減します。
答えは (140.500ー9.370×2)÷1000×1.8=219円 (円未満切り捨て)
それではここから原材料費を推定してみましょう。 1000−219=781円として
ここから小売店さんの利益、問屋さんの利益、メーカーの利益を差引き、
さらに、広告宣伝費、流通経費などを差し引き、 そこからさらに、製造と販売にかかわる社員さんの人件費、燃料費、電力費、容器包装費などを差し引いた残りが、中に入っているお酒の原材料費です。
なにやら物悲しくなってきませんか。
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