にっきちゃん。

2001年01月27日(土) ナミダクン

今日は、27日。
だけど、昨日の出来事を一つ。書かせていただきたく。
存じ上げます。(イヤ、変だから)


昨日、ワタシ、仕事中、先輩にキツイこと言われて
ぽろりぽろぽろりと、涙が出てしまいました。

一人で隠していたけれど、
すれ違ういろんな人に、ばれてしまって。(ああ、なんてこと)

先輩や、パートのおばちゃんや、同期の友達が、
みんなみんな『綾ー、どうした?!涙目だよ、なんかあったのか?」
と聞いてきた。


でも、泣いている理由、私が悪い事。
先輩に言われたことも、私がイケナイから何も反論できなかった。
だた、クソ、クソ!!!と思っていた。
どうした、ときかれても、「ん、ん、んん・・」って言っているだけで、
ワケワカンなかったと思う。
心配してくれているのに。かなり、カンジワルイ。



そしたらね、みんななんで綾が泣いているのか、
どこかで聞いたのか、わかっていたみたいで。


『綾が泣いているわけ、わかってるよ。大丈夫。
みんな、あなたのこと、わかっているよ。大丈夫。」
って、ひとりの仲居さん仲間のおばちゃんYさんが、言った。


「そうだよ、あや。」

「泣くなよ、あやー」






裏方で、周りにいた人みんなみんなあつまってきて、
先輩達、友達たち、パートのおばちゃん達・・・・


一人のひとが、笑顔で綾のカオ覗きこみながら
「なーーみだくん、さよなーーーーらーーーー♪」
って唄った。

そしたら、また違う人が
「さよーーならなーーーみだくん♪」


そしたらまた、違う人も加わって
「またあーーーうひーーまーーーでーーー♪」

どんどん、みんなの声が重なって、
どんどん大合唱になって、
みんな両手を上げて
左右に大きく振って、唄にあわせて腕を振って。

たくさんのたくさんのひとの声が、
おばちゃんたち、せんぱいたち、みんなみんなの声が
どんどん重なって振られる手もどんどん増えて・・。







  なーーみだくん、さよなーーらーーー
    
    さよーーならなーーーみだくんーーー

       またあーーーうひーーまーーーーーでーーーー





大合唱だった。





渦の中で綾は、涙目でつったってた。



ナンデ?

ワタシが、悪いのに。
こうしてくれているみんなにだって、一番迷惑かけているのに。

そう思ってまた涙がぽろぽろでてきた。



みんなの声があわさって、お客さんがその裏方のそばをとおったら
なんだ、この旅館わ、って思うから(汗)
合唱コンクールの練習してるだろ、おまえら、なぁ、なぁ。
ってくらい  みんなは、私に。
声が、あわさって・・・。



ウレシカッタんだ。
ほかに、言葉が見つからない。
本当に、ただ、ウレシカッタ  
ああ、と、ただ涙を流すだけしかできなかったんだ。


ぎゅ、・・・っとかけがえのない、大事な何かに
カラダをきつく、やわらかく、抱きしめられていた。



ねぇ、クサイでしょう。
映画みたい、ドラマみたい、だと思った。
泣きながら。


ねぇ、どうしてココはこんなに暖かいんだろう。
ねぇ、どうしてみんなそんなに。そんなにそんなに。


映画みたいに感動しちゃう事、ねらってないのに
本当にアタリマエみたいに、まっすぐなココロで
素直に、フツウに、できるんだ。

どうしてそんなに暖かい。


そして、みんなそのあともいつものようにアタリマエに、仕事する。
「あやーー、あれもってきて」
「あやーー、つぎ、煮魚だすから」


って。
ってね。



ねぇ、コレかいていてクサイと思うよ。
だけど、みんなアタリマエに暖かいから
ワタシも素直な気持ちで今書いているんだ。


どうか、ココロのくねりをとって、裸の人間になって、読んで欲しい。











ワタシは、仕事を本気でやめようとおもっていた。
毎日、イライライライラ
毎日ふつふつふつふつふつ、と
何かが。




今日。

あの、怒られた先輩と2人きりでレストランをオープンするように
番付がつけられていた。
コレは、偶然に。

仕事に行く前からイヤでいやでイヤでイヤで
つつーーー、と家を出る前に涙がでた。

ずっと、苦手な人なんだ。
一緒にいると自分のことも、その人のことも、どんどんどんどん
キライになっていくんだ。
昨日のこともあって、カラダから内臓がでちゃいそうなくらい
憂鬱で憂鬱で憂鬱なんてモンじゃなかった。


でもね、その先輩、みんなからスゴク信頼されている人なんだ。
だけど、綾はどうしても、どうしても。胃が痛くなる。


レストランオープンを2人きりで。


ユウウツなまま出勤して、着物のすそ、ぱたぱた言わせながら歩いていた。
ああ、やだなぁ・・・やだなぁ・・・


あっ・・・・。








先輩と、廊下ですれ違った。
カオを見るのもいやだった。
あいさつするの、やめたいと思った。

でも、それで無視なんて、社会人じゃないよ、
ワタシ、カッコワルイ、
と思った。
言おう。





『○○さん、今日レストラン、よろしくおねがいします」



先輩のいつもの声がした。



「やだよ」



えっ・・・




カオを見た。

先輩は、ニコッ、と笑っていた。

ああ、なんだかほっとした。


レストランでは緊張しっぱなしだった。
その人は仕事が恐ろしく早くて
(綾の中で『スーパーさっさか』ってあだ名なんだけど)

迷惑かけちゃイケナイ足手まといになっちゃいけない、
いつドギュンと傷つくこといわれるんだろう、と
神経ぴりぴりデシタ。



そして、あわただしく時間が過ぎ。


怒涛のようなレストランを、やっとしめる事が出来た、夜の10時。


静かなレストランで、先輩と2人きり。


さっきまでにぎわっていたお客さん達の笑い声も、豪華なお料理も、
きれいに飾られたテーブルも、
みんなみんな明日の朝のバイキングのしたくになって、暗い中
その器たちの影に変わっている。

「ああ・・・終わった・・・」
と、思わずつぶやいた。



とても、疲れた。
この、一日をやっと終える事が出来た。
ああ・・・


ほっとしていたし、なんだか疲れていたし、
自分のことしか考えていなかった。






いつもはあいさつもまともにしてくれないような、
すれちがっても、冷たいカオするような、
でも、みんなにはスゴク信頼されている、
私の大嫌いなその先輩は、

綾に向かって、背中を見せながらいった。



『綾、アリガトウ。疲れたでしょう。オツカレサマ』





・・・・・・・・・!?!?!?



アリガトウ、と今いいましたか?
オツカレサマ、と綾にねぎらいのコトバをかけてくれたんですか?



先輩は、綾の口の中にイチゴチョコレートをぽいっとおしこんで歩いていった。



綾のナカに、何かが流れた。






     ――――――――――――――――――――――――――







ずっと変わらずにあったはずなのに、気付かずにいたもの。
気付いているつもりが、見えているのは自分の都合だけだった事。



苦手なものは苦手だけど、
これから何回もその先輩を憎く思って涙を流すだろうけど、


ひとつ、前に進んで気付いたもの。



ぱっと視界が晴れて、
全ての、私を取り巻くものに
新しい油をさして
舵をまわし


変わらずにどしんと腰を下ろしたくすんだもの




それを
変えるのは自分のココロだと、気付いた事。


180℃包まれた霧を、両手を使ってもがいてみようと


あまぁいチョコレートを舌で確認しながら
思いました。























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