にっきちゃん。

2001年01月24日(水) ある、涙と命の根に惑う

本当はね。今、25日に書いてます。ごめんちゃい。
だって、書きたい事が二つあったから。
昨日サボったのをイイことに、利用しちゃえ。テヘ。(テヘ、じゃねぇよ)


今日、チョット、イヤ、結構悲しくて、寂しくて、
涙が出ました。仕事中。

聞いてくれますか。



今日の、綾の手持ちは、10人の団体様『若葉会』様と、個人の2人、の掛け持ち。
その、若葉会様の方のオハナシです。
おじいちゃんが7人、おばちゃんが3人。
おじいちゃん達は、到着したときから鼻アカくして、かなり酔っ払っていました。
そして、お食事時間がせまり、ウチらの一番バタバタと忙しいとき。
6時の食事で、ってオネガイされたのに5時半に何人かのおじいちゃんがもう
宴席会場にやってきて、
『綾ちゃん、もう、始めよう。はやく、はやく。』
と。

ええっ  コレって、ワタシタチにとって、すごくつらい事。
まだお刺身もきてないし、煮魚もあがってくるわけのない、時間。
テーブルだって、まだスカスカだよ!!!どうしよう・・。

5時半。この時間、いろんな掛け持ちしてるお客様がバタバタとついて
お部屋に行ったり、もう一方の掛け持ちのお料理が運ばれてきて
会場に配膳しなければならない、本当に1分1秒が
何をするのにももったいなくて、走りまわっているとき。
汗が流れ落ちるとき。

6時の予定を、5時半だなんて、ウチラ仲居さんはまわれるだろうか。
板場だって、予定を全部変えてお料理出さなければならない。
フロントサービスさんだって(料理を私たちの所まで配膳できるように
間違いなく運んでくれる、とても責任ある仕事をするダディな男性がたがた)
フロントだって、写真やさんだって、ほかの仲居さんだって、全部ペースが狂う!
その前に、30分、この30分をずらすことが、可能なのか・・・!!


フロントサービス、フロント、板場、あらゆるトコロに連絡を急いでとって
早口で確認しまくった。
「やろう」ということに。

イソゲ!!イソゲ!!!はしれ!!!はしれ!!!


「今、すぐ準備致しますので、あちらのソファで
おかけになってお待ち頂けますでしょうか。」

落ちついて、笑顔でそう、お客様に告げた。
はぁはぁしてる息がバレないように・・・。
お客様に、自分たちのせいで焦っている事を悟られたら、不安な気持ちにさせてしまう。
そんなの、絶対にダメ!お客様に、『申し訳ないね』というキモチにさせたら、プロじゃない。
だって、私たちは、お客様の都合で、コッチの予定を狂わされ、時間に遅れて来たりしていくら待たされても、コッチが『お待たせ致しました。どうぞ』って、言う。
もちろん、笑顔も忘れないで。





旅館と言う組織のあらゆる部署を動かして、私のお客様、若葉会様が
ヨロコンデもらえるように、一斉にうごいた。
お客様が喜んでくれるよう、希望に添えるよう、私たちにマニュアルはない、
お客様がこうしたい、といったら、それが全て、マニュアルだ。
できないかもしれないけど・・・・やってみよう!!!
それが、この仕事の、基本。・・だと、これまでこの仕事をやってきて、
学んだつもりだ。
そう、リーダーからいつのまにか教わってきていた。
その通りだと、体が理解してきた。



どうにか、5時半にスタートを切る準備が出来た。
でも、早くしよう、といってきた若葉会様のほうが、みんなそろってくれない。
お風呂へ行っている人、お部屋でのんびりしている人。
話が違うじゃないかぁ。
ああ。こう言うことも、ある。

結局並んだお料理とセッティングを待たせて、スタートしたのは最初の予定時刻、
6時近く。
あああ・・・。
わがままだなぁ。なんて、素にもどって本音を言うとつい、こんなコトバがでそうになる。


でも、5時半に準備を終わらせた、その事実が大切。
キモチは、伝わったでしょう。私たちの、お客様を思う気持ち。
時に、結果よりも、その経過のほうが大切だ。


宴会中は、みんなよっぱらって、ほんとすごかった。
私の手の傷を心底、心配してくれた、おじいちゃんたち。
かわいそうに。こんなにきれいな手に。といって、ぎゅ、っとにぎりしめてくれた。
昔分かれたコドモにそっくりだ。苦労をかけてすまなかったね・・・と、
手を握って離さないおじいちゃんの真剣な顔。
酔っ払っているから、ちょっとトリップしているけど。
なんだか、人の命の根に触れた気がした。
なぜか、涙が出そうだった。
私は、生き別れた娘なんかじゃない。
だけど、「いいよ、おとうさん。苦労なんかしてないから」
って、言葉が出てきた。
「ありがとう・・・」と、おじいちゃん。


フツウに読んでいると、コントみたいでしょう?
志村けんとか、でてこないから、ヨロシク。
舞台が回ってCMの間にアイドル歌手も出てこないから。
(ゴメン、マニアチックで)

でも、そのときそのとき真剣なんだ。
笑わないで(汗)



そんなかんじで、自分の仕事や忙しさを犠牲にして、
若葉会様のタメに、わがままなこの酔っ払いさん達のタメに、一生懸命やったんだ。

若葉会さまの宴会場から出ると、すっとんで2人の掛け持ちしてるお客サマの所に料理を運んで、落ち着き払った顔作って、仕事した。
忙しかったなぁ・・・。


そして、若葉会様の宴会が終わり。
みんな、よっぱらって、まともに歩けない人もいる。
「アリガトウゴザイマシタ」
そう、宴会場から送り出して、見送る。
いつもはそうだ。
でも、ふらふらしているおじいちゃんがものすごく心配だった。
ちょっと、飲みすぎているかもしれない。
残された片付け、急いで戻ってやらなければ・・・時間がない!!!


でも、どうしても心配だった。
みんなを、違う階にあるお部屋まで肩を抱いて送っていった。
フツウ、こんな事しないけど・・。


だって、なんだかとても愛しかったし、エレベーターに乗せて
アリガトウゴザイマシタ、といつもどおりすればいいお客様じゃないきがした。
お部屋まで送っていってあげたら絶対に喜んでくれると、カラダがかんじた。
それが、伝わってきた。
綾ちゃん、お部屋まで送って、おくって欲しいよ、って・・。



だから、そうした。後悔したくなかった。
また家に帰って、もっとああすることできたのに、・・・どうしてワタシは!って。


彼らへ愛情を伝えたかった。


でもね。
すごく、寂しいことがあったんだ。


お部屋について、じゃぁ、ゆっくりおやすみになってくださいね、ていって帰ろうとしたとき。
一人の人が、後ろから抱き付いてきて、胸を触った。
ビックリした。


そして、ショックだった。

・・・・・ワタシは、コンパニオンじゃない。
そう言うものを、彼らに感じて欲しかったんじゃない。
そう言う事で、私といた時間に楽しみを見出していたのなら、
私は仲居失格・・・・なのかもしれない。



「ウラギラレタ」


そんなカンジだった。
よくわからない。うまく表現できないけれど。

カラダを触られたことも、もちろん嫌悪感。イヤだったけれど、
いたかったのはココロ。
うまく、いえないけど、ぐさ、っときた。

お部屋から出て、宴会場の片付けに向かう廊下を歩きながら
涙がボロボロ出た。
拭いても拭いても出た。

私の今日の仕事。
どうだったのかな。



だけど、宴会場で見たおじいちゃんの命の根は、確かにあった。




なんだか、うまくいえないkれど、
明日も、彼らを愛したい。
愛そうと思う。

お帰りになるまでが、勝負だ。


いろんなことがあるね、ベンキョウだ。

ガンバレ、


綾なら、きっと、できるから。








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