2003年09月23日(火) |
マーチングバンド県大会 |
昨日から決めかねていることがあった。
今日は息子のマーチングバンド県大会だが、娘の塾は朝からある。 塾には行かせた方がいい、という夫と、 休ませても見せたい、という私と、 意見は食い違っていた。
夫は、こんな大事な時に塾を休ませてまで行かせる意味があるのか。 と思っていた。
だが私は勉強よりも「やる気にさせる」ことが大事だと思ったのだ。 娘は、もともと、中学に入ってからもマーチングバンドを思いっきりやりたい、ということで受験を始めた。マーチングバンドで全国大会に行く、それが夢だったはずなんだ。 それなら、それだけの実力がある団体を自分の目で見るべきなんじゃあないのか、と思ったのだ。 自分が出場する時は、真ん前で他の学校の演技をしっかり見ることなんてできなかったのだから。 目先の勉強より、ここに入りたい、こんな風になりたい、その気持ちを強くすることが、ミスを少なくする最大武器になるんじゃないのか、と思ったのだ。
私はまた腹が立って仕方がなかった。
結局、解決しないまま朝になった。
寝ている夫に、
「塾休ませていいよね?」
と言うと、いいよ的な返事が返ってきた。
息子は朝から緊張していた。 姉に「緊張した?」と心配そうに聞く。
娘は「少しは緊張しなきゃ駄目だよ。」
私「大丈夫、練習通りにやれば絶対大丈夫だよ。」
夫は会場までバイクで行くか行くまいか悩んでいた。
バイクで行くなら、と大会のチケット1枚、夫の分を手渡す。
「先に着いた方が並ぶということで。」
「えっ、俺の方が遅いだろ。」
遅いのにバイクで行くの?だった電車で行けば?
ということで夫は悩みつつ、電車で行くことになった。
開場15分位前に着くと、横浜アリーナは真後ろまで入場待ちの人が並んでいた。 とにかくすごかった。
いつものごとく、1F席より2階席の方が全体のドリルがよく見えるので、上へ向かう。 息子が出演する少し前に義父母も来る。
私はずっとビデオを回し、息子のアップを撮っている時、息子の足が止まった、瞬間、回りと違う空気が流れた。止まったのが間違いで、2歩手前に修正して歩いてしまったのだ。
ドリルは間違えても「あっ、間違えた。」と修正してはいけないのだ。そうすると思いっきり目立ったしまう。間違えたら、次の流れで修正すべきなのだ。
息子は思いっきり「しまった!」という顔をした。
演奏が終わると写真撮影になる。 その場所に向かい、息子と顔を合わせた瞬間、
「緊張して全然できなかった。間違えた。」
と、暗〜い顔で答えた。
写真屋さんが、子供達の笑顔を撮ろうと、「みんなでゲッツをやって!」と言うが、息子のゲッツはすご〜く暗いゲッツであった。
パート毎の写真撮影が終わって移動中、息子は胸に抱いている大きなドラムに顔を沈めていた。指先で何度も何度も目尻をこする。涙を流しているらしい。こすってもこすっても息子の目から涙が流れてくる。顔を歪ませるわけでもなく、声を出すわけでもなく、涙だけが出てしまっている。先輩が息子に気づき、一生懸命慰めてくれている。「上手だったよ。」って。
後に、「嘘だと思うけど。」と付け加えながら、先輩がそう言って慰めてくれたと息子が教えてくれた。
息子の涙を見て、自分もいたたまれなくなった。 親戚のお葬式の時、同じような泣き方をした。 涙が出てきちゃう、そう言って同じように指先で目尻をこすっていた。
そして娘の関東大会を思い出した。 ほとんどの部員の子たちが大泣きしていた。 みんなで泣きながら数人ずつ肩を抱き合っていた。 6年生の数人だけが、「5年以下はまだ来年があるんだから頑張ればいい。」と励ましていた。 私は大泣きする娘に、何も言葉をかけてやれなかった。
そんなことを思いながら足早にその場を去った。
小学校の部が終わると休憩ができるベンチは混んでしまうので、終わる2校前くらいに出て場所を取り、義父母が買ってきてくれたサンドウィッチなどを食べる。
今年は出場校が少なく、小学生の部は全校が関東大会出場となった。
終始、私と夫は仲良し夫婦だった。
だけど私の心にはわだかまりがあるままだった。
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