昨日、私があんな事を言った時、 夫の顔色は変わらなかった。
返事もなく、聞こえていないのかもしれないと思ったが、 敢えて繰り返して言わなかった。
娘は今日、稲の穂の殻を取り除いて持っていかなければならないと言う。 理科の宿題で、そのお米を炊くんだそうだ。 娘はこの一週間、すりこぎとザル使用でずっと頑張ってきたが、娘の力では少ししかできなかった。 私もやってみたが思うようにできなかった。
いつものことだけど、こういう時が、子供たちにパパは怖くないのよ、と思わせるチャンスなのだ。
「パパに頼んでみたら?」
子供たちは、決して自分からパパに何かを頼んだりしない。 何か言われたら怖いから。 そこで萎縮してしまい、もう二度と頼むまい、と思ってしまうから。 私が勧めれば、 なくて済む。だから、勇気が出せるというものだ。
「明日までの宿題なんだけど、パパ手伝ってくれる?」>娘
「(夫に)頑張ってるんだけど出来ないのよ。手伝ってあげて。 (娘に)ほら、あなたもただ見てるだけじゃなくて、ちゃんと自分もやるのよ。」
夫も子供たち同様、同じように戦っている。 イライラして罵倒あびせ断る時もあるが、あっさりと引き受けた。
私があんな事を言ったからだろうか。 それともそれは私の思い上がり?
いつもなら夕食を食べたらすぐコックリコックリしてしまう夫が、 夜中の12時過ぎまでお米の殻を取っていた。
これがヌカ床になるんだね。 へえ、そうなんだ。 そうなんだよ。
そんなゆっくりとした時間だった。
そして、今日。
明日はテストだ。 漢字は覚えているのか? 算数は理解しているのか? 社会は? 理科は?
家庭教師の先生は、来月までの予定だったが、 引越が早まったため昨日で終わりとなった。
家庭教師をやめても、今までと同じペースで、 今度はママと頑張っていこうね、という約束をした。 今のペースで頑張れば、きっとクラスもあがる。 そう確認し合った。
それなのに、娘は帰ってくるなり怒鳴り散らし、 部屋に入るな、と怒っている。
私は息子の部屋で、 「アルジャーノンに花束を」 の本を読んでやる。 息子は、主人公のチャーリーが、自分と同じように、 「は」を「わ」と書いたり、 「っ」を抜かしたりして書いている経過報告を、笑いながら聞いている。 >笑えないって、お前だって同じじゃん、みたいな。
娘が自分の部屋から怒鳴ってくる。 「眠いから寝る!」
返事だけすると、また息子に続きを読んでやる。
娘の歯科の時間になり、自転車に乗せて連れていく。 診察時間は5分程度、矯正のネジを調節するだけ。 終わるとすぐにファミレスに向かい、 塾までの空白の時間、15分程度をデザートを食べながら過ごす。 家で留守番している息子のためにお持ち帰りのお弁当を頼み、 間に合う時間に店を出る。 >支払いは、ポイントでゲットしたお食事券で
娘がまた怒鳴る。 急に走り出す。 走らなくていいよ、間に合うから大丈夫よ。
「間に合わないの!いつも遅刻なの!」
初めて聞いた。 私は、きちんと「乗換案内」で時間を調べている。 以前は早すぎた怒られ、他の子と同じだという1本あとの電車に間に合う時間に行かせるようにした。 先月、塾側がスタート時間を5分遅らせた時も、その時間でちょうど間に合う電車を調べた。 私に落ち度は無い!はずだ。
「回数券まだあるの?」
「わからない!」
「調べてごらん?」
ふてくされたように、ただ調べている。 無いならきっと言ってくるんだろう。 札が入った財布は持ち歩くなと言っているのに持ち歩く。 それも無くしたら困るからカバンにつけておきなさいと言ってもつけていない。
カバンにつけておかないとなくしちゃいますよ。
「取れちゃったの!」
娘はそのまま行ってしまった。 怒鳴られ、残された私は涙が出た。
私は一体、何やってるんだろう。 私、何のためにいるんだろう。
ふと、気になって息子にお弁当を食べさせながら、 塾に電話してみる。 「今日出る前に、いつも遅刻している、と本人が言ったのが気になりまして。。 最近の様子を教えていただきたいのですが。。」 「遅刻してくる子は覚えていますが、○○ちゃんが遅刻しているのを見たことはないです。いつもきちんと時間には来ているはずです。」
では、あの娘の言葉は何だったのだろう。 でまかせ? 嘘? 私を困らせるため? 甘え? 偽り?
何?
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