Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2016年07月25日(月) |
タダマス22・リワインド |
1. Marcus Strickland’s Twi-Life album "Nihil Novi" (Blue Note Records/Revive Music B002468402) 1曲目 Tic Toc かっこええ、複雑なリズムではなしに同時併走的につながってゆくのがたまらない、 (4台のラジカセで同時にR&Bをかけてるみたいに気持ちいい)と思ったのはいいとして、この音楽の事態がそうかというと全然違うのね、 時報のような定ピッチの電子音がめっちゃ気持ちいいのは何故?、 ミシェルンデゲオチェロのプロデュースが入ったという、 どこでどうどもったり1拍置いたり加速停止したら気持ちいいか判っているのだな、
2. Henry Threadgill Ensemble Double Up album "Old Locks and Irregular Verbs" (Pi Recordings PI 64) タダマスの2曲目に現代ジャズのキングオブキングたるヘンリースレッギル総統の新基軸が!かかる、 もはやスレッギルは楽器を弾いていなくても、そこに厳然として君臨しているという、ありようの畏怖だ、 彼らの演奏するリズム変拍子は、もはやリズム変拍子という認識によってなされるのではない、身体化した演奏筋肉の自発の次元なのだ、 タダマス1曲目2曲目は全く異なる生成原理によって演奏されたものであるのに、ワタシがリズム躍動というものを聴取し認識して捕まえるか捕まえないか攪乱される快楽、攪乱される快楽においては、同値だとまでは言わないまでも、並べてしまいたくなる欲望を喚起する、 益子さんの狙いがあるのではないか、とまで思う、
3. Bobby Avey album "Inhuman Wilderness" (InnerVoice Jazz IVJ 102) Jordan Perlson - drums、かっこいい最先端なリズムだ、ここまで来るか、来るよなあ、 ドラム以外の演奏には耳がいかない、
4. Guillermo Klein album "Los Guachos V" (Sunnyside Records SSC 1414) ううう、この人生をしくじってはつんのめって挽回しようと気は焦るがやっぱり転ぶ、的な、ビート! なになに、このビートはどういう手法なの?気持ちよすぎて心臓に悪いのだ、
5. Megumi Yonezawa Trio album "A Result of the Colors" (Fresh Sound New Talent FSNT-504) このピアニストの底知れぬ才能に、謎に、輪郭をつかもうとする触手をはぐらかす魔性のピアニズム、 比類がない、 一見へたくそに聴こえる、ちょっと安心したかと思うと軽い悪夢に踏み込んでいる、 これまで結構たくさんのピアノを聴いてきたけど、このラインは存在しなかった、 で、本人はそのつもりも意図もこだわりもないはずで、こういうのは天才としか言いようがない、 ジャケもインナーもじつにその反転のありように思えてわたしには美しい、
6. Lilly Joel album "What Lies in the Sea" (Sub Rosa SR 416) 今回最大の衝撃というか、天国的なサウンドコラージュ、コラージュではない、ううう、これは松籟夜話でかかってもおかしくないのではないか、と、思う、 なぜそう思うのか、わからん、 ええい、福島さん、津田さんにきいてしまおう、
・・・テイストとして、すごくカルトな・・・というか、サイケ・マニアが探しているような、よく「オブスキュア」と形容される、得体のしれない曖昧模糊とした「心霊現象」的な音楽に感触が似ていますね・・・(福島恵一)
以下スラスラと参考音源を挙げるくださったのだった(驚愕ものだー)
Mauve Sideshow-Golden Sand From the album, "Dark Flowers". ■
The Inevitable Chrystal Belle Scrodd Record United Dairies, 1985 ■
Chrystal Belle Scrodd (Diana Rogerson) - The Little Seed / Scitzo ■
Nurse with Wound - Homotopy to Marie ■
Asmus Tietchens - Studie fur Glasspiel Formen Letzter Hausmusik - 1984 ■
Alain Kremski : Prières et méditations secrètes Musiques rituelles pour cloches et gongs. Auvidis 1979 ■
7. Pascal Niggenkemper Le 7ème Continent album "Talking Trash" (Clean Feed Records CF 373 CD) ついに、響きの魔境に迷い込んだかのような、おい君たち、演奏をしようとしているんではないだろ、聴く者を響きの横溢で溺れさせようとしているのではないのか?
8. Colin Stetson album "Sorrow - A Reimagining Of Górecki's 3rd Symphony" (Boosey & Hawkes 52HZ 001 CD) ここまでやられて今回はじめてコリンステットソンの狂気に触れた、 別にグレツキのベストセラー楽曲を演りたかったのではないのだ(さっきセブンイレブンでボストンのMore Than Feelingをストリングスで流暢に奏でたものに心を和ませてしまったのだが)、 クラシックのオケも楽曲を聴きたいのではなく、そのオケの独自の響きに耳をすませたいという、ただそれだけでもうたまらないという、成分はある、 響きが統率されたクラシックのオケとは違って、リアルタイムに生成変化、響きの重層化に身を沈めるという純粋欲望、
9. Tyshawn Sorey album "Inner Spectrum of Variables" (Pi Recordings PI 65) タイションを忘れていたぜ、やるかもしれないとは思っていたが期待はしていなかった実際、 タイションのコンポーザー、インプロヴァイザーとしての時間の見通す射程の大きさ、だ、 (この才能は、ジョンホーレンベックと菊地成孔とスフィアンスティーヴンスにおいらは認めている) これだけのいい演奏家をよく揃えた、理解を得た、そして成し遂げた!
一見、現代音楽っぽい、とか、手法は古い、だとか、言われそうだが、 これは現代音楽の現代音楽たるゆえんのOSからは出てこないものだ、 インプロのジャズの強度、演奏の質、としか言えんが、の、
10. Eliot Cardinaux album "American Thicket" (Loyal Label LLCD 019) これはもう菊地雅章トリオ『サンライズ』が扉を開いた21世紀ジャズの継承盤のラインにいる、 トーマス・モーガン(ベース)、フリン・ヴァン・ヘメン(ドラム)、 (あれだぜジョゼッピローガンESPでのミルフォードグレイヴスまでおいらの耳は引っ張り出してしまうぜ) トーマス・モーガンはベーシストととしての凄さもラファロ以来だと(ヘイデン、ピーコックすらジャンプする)言えるが、それよりも関わったセッションをすべからく黄金に変えてしまう触発するちから、 こういうのを現代ジャズファイターズの4番だというのだ、
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