Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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利根川、水戸街道。
グランディスに乗ってどこか巨大な銭湯の立体駐車場に着いた。車の右後方のガラスに映して髪型のハネをチェックしてると助手席から出てきた長女が「あー、それ、グランディスおじさん、て、おとうちゃんだったんだあ」と言う。こんなのみんなやってるじゃ、ドンキで買ったニッキュッパのバリカンで自分で刈ってるから、さ。おまえカレシと暮らしてるんだろ、忙しいんじゃないのか。
銭湯に行く道具を入れるのは、スーパーのイオンで500円で買った買い物カゴだった。はだかの石鹸と手ぬぐいだけ入れているが、分厚い作業ズボンをはいているし、フード付きの防寒ヤッケまで着ている身なりなので、銭湯の脱衣所では必要なのだと思っている。
銭湯はお祭りがあった直後のような混雑で、おまけに銭湯の建物はリフォーム工事を同時進行していた。たくさんの労働者やじいさんやガキが出てくるので、その分空いてきているだろう。
同行しているのが、相撲取りのちょんまげをした小太りな若者になっていて、あれ、コバヤシくん(カレシのなまえ)ずいぶん太ったな、まあ、一緒に行こうや、と話している。
脱衣所は薄暗く、足の踏み場もないくらい混雑していた。
浴場に入ってゆくと、洗い場を確保するのに難儀する。途中で幹事長が「たださん、わたしはこちらで失礼してますよー」と痩せた老人と洗い場に並んでいる。作曲家か誰かだろう。
湯船につかって眺めていると、壁のシャワーの上方の棚のようなところにボックスCDセットがたくさん並んでいる。武満徹の映画音楽ボックスが8つ並んでいるとなりに、遠目で Gary Peacock と文字が見えるボックスがある。あれ?そんなものが出ているのか。
湯船から出てそのボックスに向かうが、なかなか近づけない。途中で4・5人が入れる小さな湯船があって、そこにはいる。声のいい小柄のじいさんが「北海道はー、生け垣もないー、生まれてこのかた、生け垣もないー」と唄いながら入ってくる。その節にあわせて「生まれてから北海道、生け垣知らん、そんなの知らんー」と対抗して唄うとじいさんが湯船に入ってきた。
幹事長が向こうの湯船に向かう姿が見える。背中じゅうに石鹸の流し残りをつけて歩いている。おれがオンナならああいうお茶目なところに惚れるなー、ピーコックのボックスを教えなきゃ、と湯船を出ようとすると。
マラドーナ監督がにこにこしながらやってきて、タガララジオそろそろ書いたほうがいい、スキスキスキップなんて聴いている場合ではないと言っている。
いや、HKTのスキスキスキップとSKEの青春は恥ずかしいは同じコンポーザーかもしれません、ジョンケージショック3CDを聴く時間が取れないでいるんですー、タダマス10の告知はしなければなりません、それより今年は稲岡さんにとってECM独占契約、アキサキラ、インスピレーション&パワーの73年から40周年じゃないですかー、手記書いてくださいよー、73年のミルフォードグレイブスの映像観ましたよ、あんなヴィヴィッドに聴こえる時代だったのですね、福島哲雄さんとブラクストンを招聘したときのハナシも読みたいなあ、ピーコックのボックスなんて出ていたんですか?と、湯船から話しかけている。
図書館から借りている16さつの本のことを思い出して、なかなか読む時間が取れないなあと思っていると、番台におふくろが座っていて「あんた、タバコ吸ったり同じCDを繰り返し聴いたりしてないで、小学校の時間割みたいに毎日6コマの読書をすればいいでしょ!まだ仕事しなきゃいけないのかい!」などと言う。あれ?おふくろ、こんなところに居たのか。仕事しないと生活費がないし、まだまだだよー、井上靖のしろばんば読んだよー、宮崎駿の世界だな、ああ、それにしてものぼせてきてしまった、ああーっと背伸びをすると
目が醒めた。
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