Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2013年03月18日(月) 『ウィズアウト・ア・ネット / ウェイン・ショーター』




『ウィズアウト・ア・ネット / ウェイン・ショーター』

継承される古き良きオールド・スタイルのモダン・ジャズ直系の懐かしさかな。


コニッツはサイドメンのおかげでいい作品あるしー、ロイドは『ジャンピングインザクリーク』の緩んだフンドシのようなよろけジジイぶりが泣けたし、ショーターは『フットプリンツ・ライブ』1曲目のソロのあんばいがまだまだイケてんじゃん!と思っていたのでございます、ここ10年。

ね。コニッツ、ロイド、ショーターというジャズ史の栄光と黄金を彩ったご老体サックス、ゴールドマンサックス出資でオールドマンサックストリオでも演れやー、老いた風情がサマになるのはあと何年かしら。と。

そのうち図書館に入ったら聴こうと思っていたショーターの43年ぶりのブルーノート復帰作。

先週のNHKFMジャズトゥナイトで児山紀芳さんがこの新譜から23分ものトラック「ペガサス」をかけてて、わくわくしながら耳をそばだててたのだけど、どおして児山さん、こげなつまらん時間潰し選曲しておるんかと耳を疑った。なるほど、番組の1曲目でCDトラック8を取り上げていたのね、おれは2曲目から聴いていたのか、なら、わかる、トラック8がいちばんましだものね。児山さんがトロティニョンかけたときも、1曲目にいちばんいいトラックをセレクトしていて、ほんといい仕事していると感心していたんだ、児山さんの選曲は批評になっている!って。それはさておき。

この音楽に、80年代も90年代も00年代も過ぎてきたジャズの形跡は無い。

わかりやすすぎる。空手で型を決めてるのだけ見るのがあるでしょ。あれだ。お約束、クリシェ、儀式、伝統、義務教育、で、どこかモンダイでも?と言い切るパンチがある。わくわくするタイミング、たったったステップ、ソロのこのフレーズだぜ、つんたった、つんたった、ヘイ!

おれがジャズ喫茶に通い出した80年代にベースとなっていたジャズで充分楽しめる。

今の若手ミュージシャンはこういう演奏をトラディショナルと言い捨てていると思う。

うんにゃ!おい、そこの若造、トラディショナルで何が悪い。これこそ伝統あるブルーノートでなければ、黄金のショーターの栄光でなければ、と、ふっきれたリリースの勝利ではないか。

そっか『フットプリンツ・ライブ』は02年だったのか。当時はそれで良かったんだよね。えええ?この『ウィズアウト・ア・ネット』13年は『フットプリンツ・ライブ』02年と同じメンバーなの?

それにしても型にはまったことしかできないピアノだし。パティトゥチにも感動したためしがないし。ブライアン・ブレイドのタイコの録音が風呂桶風味で打音だけ聴いてね!だし。

ポール・ブレイがJazzTokyo稲岡さんに取材を受けて「最近の若手ピアニストでは誰に関心がありますか」ときかれて「ダニロ・ロペスとブラッド・メルドウだ」と、真顔で応える批評性の笑いを、おれは今のジャレットに送りたい気持ちでいる


ダニロ・ロペスって表記されてるけど、このダニーロ・ペレスの間違いですよ。

現代ジャズのアンテナでは、空手の型ではなく、サッカーの美しさなのであるし、聴取するファンクションの耳の走り場所が異なるのだろうと思う。

なんだかこんなテキストをJazzTokyoに書いたら迷惑かけてしまうなあ。

老境トーマス・スタンコと、現代ジャズ世界ランキング1位トーマス・モーガン。ECMで。おれはどちらかというとステファン・ウインターに録ってもらいたいんだ。

いけめんただくん、と、はやされていい気になってるんでねーぞ。







Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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