Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2011年10月26日(水) 耳の枠はずし「ジャズにちっとも似ていないジャズの出現可能性−「タダマス3」レヴュー

つづいて福島恵一さんからタダマス3のレビューをいただきました。
耳の枠はずし「ジャズにちっとも似ていないジャズの出現可能性−「タダマス3」レヴュー  Possibility of Appearance of Jazz which is quite unlike "Jazz" − Review for "TADA-MASU 3"」
おお、英語のサブタイトルがかっこいい。世界のインプロ越境リスナーと現代ジャズリスナーたちの耳目をつなげる表現だ。

わたしもこの5曲について、忘れないうちに書いてみようと。



スティーブ・コールマン。会場でジャズ批評に執筆されている方から「デイブ・ホランドのグループにいたコールマンや、ホランド、デジョネットと組んだトリプティケイトでのコールマンはすごい」と発言があったとき、「お、オレもまじおんなじデス!」とハグしに行きたくなったが、キューバにまで足を伸ばしたあたりのコールマンは楽しかったけど、その後はM-BASEやってマス、複雑なコトやってマス、いつもよりたくさん変拍子合わせてマスというトンガリ意識についてゆけなくなっていた。女性ヴォーカルのジェン・シウさん(コールマンのかみさんらしい)の必然も感じずにいた。ところがどうだ、このすんなり極彩色が編みこまれたすべすべした生地が躍動するような力強さは。そんでジェン・シウの演奏を聴いてんのか聴いてないのかどうでもいいような、はみ出た歩みのヴォーカルの良さ。演奏陣とヴォーカルが空間をふくらませている。おれなんか、このヴォーカルをマーク・ターナーやクリス・スピードの管の音色に置換してもイケてるぜ!と思ったとたんに、そうそうそういえばジョー・ロヴァーノのUSファイヴの新作、彼らのツインドラム、ポリリズムをまきちらすためではないツインドラムの心地よさの意味、そのサイドメンたちの上で字余り字足らずどこか脱力へんに強情といったたまらなさに年季の入ったロヴァーノが良い、ところとつながって聴こえた。生きているじゃねーか、ファイブ・エレメンツ。タイショウン・ソーレイのタイコのちからもあるのかなあ。



そのタイショウン・ソーレイが!スレッギルと、マルサリスと対メンを張る最強水準のコンポジション・グルーヴを打ち出してきた。まじ、かっこいい。手がグーになる全編かっこいい。どんだけ練習すればこんなんなれるの?どんだけハイレベルのプレイヤーでなければここまで着けないの?と問いたいくらいだ。そしてそして、わたしの誤りの耳は、デスメタルの快楽とも並べてしまうのだった。ロスコーミッチェルのノートファクトリーのライブ会場にメタルキッズが多数押しかけていて、メンバーのクレグ・テイボーンがなんでおれたちのライブに来たのかたずねたら、おっさんGorgutsの『Obscura』を聴けよ、と言われた建築鍵テイボーンはGorgutsのギタリストの昨年デュオライブをしたとまで展開した、そのデスメタルである。メタリカ好きの友人にアイチューンを指南してもらってようやく聴けた。息子たちに聴かせたらマキシマムザホルモンじゃねーかとスルドいことを言う。おれの耳ではフランク・ザッパのイエローシャークだってお隣さんなんだ。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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