Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2011年07月25日(月) |
タダマス2、ニューヨークダウンタウンシーン四半期ベスト2011−2の10曲メモ |
ご来場感謝いたします!タダマス2、ニューヨークダウンタウンシーン四半期ベスト2011−2。 トリップしましたー 曲目はここで→■
益子さんがここ3ヶ月間で5・60枚のNYジャズ新譜を選りすぐってリサーチして、6月には10回目のNY現地ライブシーン定点観測を経て、それを経て10曲に絞り込んだトラックたちだ。
1曲目はブルーノート盤、ジャケの感じからはおいらはまず手を出さないブツです、サウンドはテクニックで推進させる90年代末からのメインストリーム然としたもので(市野さんはフェローシップ系と形容された)、エリック・ハーランドを小粒にした叩きのエンジン、ところがここでのペットとサックスの「ナナメになったかんじ」の音程がじつに耳をくすぐる。これが好きだとなったら大枠はどうでもよいという気に。堂々とした変態がかっこいい。たまらん。
2曲目はツァデック盤で、チェリストのオキュン・リーの作品。ピアノにクレイグ・テイボーン、鳴り物に未来を奏でる変態ジョン・ホーレンベックという聴き逃せない才能が。フィールドレコーディングの中でピアノとチェロを中核としたクラシック然とした演奏が続くよう。ところがこれはフィールドレコーディングではなかったという!
3曲目は最近多くなったトロンボーンのジャズトリオ。トロンボーンの響きに偏重した楽器特性が、シーンの徴候に一致しているのか。このトロンボーン奏者がエレクトロニクスをあわせて表現手段にしているのもある意味自然なことがわかる。なるほどー。
4曲目。ホーコン・コルスタ、インゲフリクト・ホーケン・フラーテン、ヨン・クリステンセンというノルウェー2世代トリオ。コルスタのバス・サックスの音色がたまらん。コメダの映画音楽で鳴っているカンジだし、ECM初期にガルバレクが鳴らしてもいた。この音色は過去へのまなざし、または過去からの咆哮ではないか。年とったクリステンセンのモチアンめいたシンバルワークと彼ならではの風呂桶蹴飛ばすようなバスドラが吉。
5曲目。はやくもテン年代の名盤と言われる『バラッダーリング』のヤコブ・ブロ。「このギターの感覚は、どこか従来のジャズからはみでて、こともあろうにノスタルジックなプログレとか、おかまいなしな表現をぬろろろと演る大らかさがある」とおり、どこで弾いても世界を揺らしてしまうのね。
6曲目。ポップの手つきに親密で奇妙な存在感を感じさせるベース奏者でサウンドメイカーのベン・アリソン。こともあろうにカーペンターズの「愛のプレリュード」をジタバタした貧乏ゆすりのようなタイコに乗せて。どっと笑える。しかし2分間でいい。
7曲目。期待のサックス奏者、ジェレミー・ユーディーン。バンジョー界のスティーブ・ヴァイ、ブランダン・シーブルックにも注目。
8曲目。期待のギター奏者、トラヴィス・ルーター。3曲目でも弾いていたベース奏者クリストファー・トルディーニがかなり気になる。
9曲目。BBC、あらため、BB&C。ティム・バーン、ネルス・クライン、ジム・ブラックというスーパートリオ。名前を並べるだけで聴こえてきそうなサウンドの限界が世の中の厳しさだが。たとえばデヴィッド・トーンとの対比で言えば、クラインのほうが軽やかで好ましい。
10曲目。歴史的とも言いたい。クレイグ・テイボーン、ウイリアム・パーカー、ジェラルド・クリーヴァーという現代の3名人がスタジオに入っただけで2011年の1枚だ。この三人が。ピアノの建築クレイグ・テイボーン、惑星ウイリアム・パーカー、新世紀ジェラルド・クリーヴァー、演奏の強度がちがう。ものがちがう。なんてこんな形容は逃げなんだけど。
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