Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2010年11月06日(土) |
荻窪ベルベットサン「王政復古」 |
荻窪ベルベットサンで「王政復古」という3組のジャズ・ユニットが聴けるイベントに出かけた。
スガダイロートリオ = スガダイロー(pf) 東保光(cb) 服部マサツグ(dr) 市野元彦(gt) 渋谷毅(pf) 外山明(dr) Shinpei Ruike 4 Peace Band = 類家心平(tp) ハクエイ・キム(pf) 鈴井孝司(cb) 吉岡大輔(dr)
スガダイロー、CDでは聴いていたが、圧巻なライブに接してその評価にじつに納得する。ベースとタイコの作り出すグルーブが尋常ではなかった。トリオの主導権をリズム隊に渡した場合に、このトリオはどんな音楽を発展させることだろう、ピアニストはどう挑むことだろう、と、わくわく想像しながら聴き進める。それにしてもベースの東保光■がいい。なにかとてつもない才能を発見したような気持ちになる。
市野元彦トリオ。浮遊する天才トリオ。すべての音とタイム感覚に必然を感じてしまうような名人芸の域。自然体で無理をしないのね。もう少し渋谷毅のピアノのありようにピントを合わせて聴きたかった。腹八分目。おかわりを言いたくなるあたりがちょうどいいのか。寝るなみんな、世界最前線と同期している感覚がこれなんだぞ。
4ピースバンド。うううむ。力作なコンポジションではあるが、4にんとも演奏力がないぞ。1曲40分以上もある演奏はど根性でつないで完走しただけの駅伝チームのようだ。キム・ハクエイのピアノはCDで聴いて良かった記憶があるけど、何もしていないようだった。タイコの突発連打はただの芸風のようだ。
この企画「王政復古」は、スガダイローが選んだ3バンドが揃ったもの。スガダイローはシーンを引っ張るような豪快な演奏家である。
最盛期の山下洋輔トリオは時代の熱気も背負っていた。その山下トリオの力量80%増量の21世紀版がスガダイロー・トリオであることには疑いはない。どしゃめしゃフリーの作法なり効用は、あるだろうし、その需要もまた。わたしはLPも買ったしライブにも通ったが山下洋輔に感動したことがない。ジャズだとは思っていない。アメリカのミュージシャンをサイドに弾く山下の演奏には何もない。いつだかテレビを観ていたら山下洋輔と坂本龍一がピアノ2台で即興を演っていた、聴けたものではなかった。
スガダイロー・トリオはエキサイトさせる。そのグルーブがキモだ。サックス奏者がいてもいい。ヨーロッパのジャズ・フェスに登場して聴衆を圧倒することだろう。ただ、そこから先をうまく想像することができない。
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