Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2009年05月08日(金) |
オペラ『愛の白夜』 作曲:一柳慧・台本:辻井喬 |
「海に立ち上がる塔の土台は時間を礎としている」
要所で2度(か3度)歌われたこのフレーズがなかなか含蓄があるように思える。コンサートが終わって忘れないように走り書きした。けど、記憶間違ってないかな。
塔、とは。塔はタワーレコード。タロットカードで塔の意味はあまり良くない。ヘッド博士の世界塔。ものみの塔。見張塔からずっと、ディラン、ジミヘン。札幌テレビ塔。 塔はフリーメイソンの重要なアイコンだっけ。お、一柳慧は67年ロックフェラー財団の招聘で渡米したところから作曲家としての活動を始めている。台本の辻井喬、セゾン総帥、六本木WAVE。
辻井喬がこの歌詞をどのような意味で配置したのか、どう解釈するのか。
わたしたちユダヤ人は、どんな困難な状況に対しても変節せず、それを歴史をとびこえて貫く視点があるのです、という静かな覚悟のような気がする。
ピーピコ賞は、コンテンポラリーダンスの水準の高さで魅了した北村明子、杉原幸子役で見事なアリアの歌唱で魅了した天羽明惠、の、2名です!
舞台背景の幕が開けて後方からの光に照らされるラストシーンが特に良かった。傾斜のある大きな台が中央に配置されたセット、それを回転させて場面を変えるシンプルさ、天井から下がった円形の有刺鉄線。
いみじくも評論家の三浦雅士がパンフで書いているように、昭和の匂いが濃厚に漂う表現・メッセージであったように感じた。このスタイルを味わう。で、いいんだろうな。会場にいらしていた60さい以上のみなさまには。
外交官・杉原千畝が6000人ものユダヤ人を救ったというストーリーに現代音楽を持ってくるのは正しい。順当な企画であるし、多面体の作曲家と目する一柳慧、戦後・昭和の大作曲家、が、どうコンポジションを構成するか、という視点もあるのだけど、どうも一柳慧は自分の引き出しにある作曲手法だけで、いわば部品だけで形を整えた程度にしか思えなかった。
平成版として、同じ東京コンサーツであれば、作曲を権代敦彦、台本を綿谷りさ、のものをおいらは聴いてみたい。台本、古川日出男なんてもっといいかも。
初演時のチラシ
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