Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2009年01月09日(金) |
『SUPERMARKET FANTASY』とミスチル論(メモ)2 |
7日のミスチル論が好評みたいで、もっと参照点を加えて書くべきなのかな。
ついで、を、書く。
言うまでもなく、 彼らは基本的に誠実である。その痛めの誠実さはたとえばバンクフェスで割り箸を使わないよーにしようよと、ひたむきにアピールする素朴さを連想してしまうものだ。
15thアルバム『SUPERMARKET FANTASY』というタイトルは、 収録された楽曲の半数がテレビ番組の主題歌などとタイアップがなされており、マーケットに応じて書いた曲を集めただけ、を意する。 この楽曲たちのオーダーメイド感。そんなマーケッティング感にファンタジーなぞあるものかね。 既聴感にまみれた手馴れた旋律とアレンジというリソースの再利用・リサイクルの逼塞に彼らはあぐらをかいている。 それを白状している誠実さがこのタイトルにはある。
「いちばん好きな色って何だろ」(NHK北京オリンピック・パラリンピック放送テーマソング「GIFT」)という歌い出し。 メダルの色だろ!金に決まってんだろ!ねぼけてんじゃね!と、正直、友川カズキの口調で言いたい。
カップヌードルのCM曲もやっていた彼らだけど、ディズニーランドやマクドナルドの曲も委嘱があれば即座に作るだろう。
『SUPERMARKET FANTASY』には、ファンにはわかるだろう、落ち込みのいわゆる暗黒ナンバーが無い。 おのれの欲望の暗部を叫ぶような、虐げられて生活するワークングプアに寄り添うような楽曲が無い。 そして、それに対応する魂を浄化させるイメージを与える楽曲も無い。 つまり、暗黒も清浄も無い、のだ。 それは未踏の領野に進むような世界観を提示したい制作意欲はないこととリンクしてるだろ。
オトナになったの。
狡猾にあれはあれそれはそれと分別のある、マーケットに応じて派遣労働者を切る分別のあるオトナになったの。
ファーストアルバムからリアルタイムで聴き続けるオールド・ミスチル・ファンは、もっと言いたいことがあると思う。 おれは金を払ってにこにこしているだけのファンではないぞ。
あ、でもね。 「しるし」も「Sign」もテレビドラマの主題歌だけどこれはいーんだ。楽曲の意味とちからがあるという一言に尽きる。
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