Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2007年12月24日(月) |
NHK東京児童合唱団の「ユースシンガーズ第1回演奏会」 |
クリスマスイブ当日はNHK東京児童合唱団の「ユースシンガーズ第1回演奏会」。 おめあては3月30日に名古屋で聴いた「詩篇頌詠」■。
ユースシンガーズというのは、児童合唱団(小学生が主体だな)を中学2年で卒団したメンバーでさらに深く合唱に取り組みたいこたちが一般の応募者とともにオーディションを受けて構成されるという。
「どこかで春が」「うみ」「赤とんぼ」「雪」「故郷(ふるさと)」といった、聴く前からあくびが出そうなタイトルのナンバーを! クイーンのハーモニーやらパット・メセニー的映像音楽やら、こいつはぜったい20年前にゃ池袋西武アールヴィヴァンに通っていたに違いないと思わせるミニマルミュージック的アレンジやら、なんとも編曲者が秀逸すぎっ!・・・NHK、さすがいい人材を揃えてるナ。 こういったまさに音楽的な先進性を楽曲に取り入れ、それでいて古典が生き生きとした表情をみせる。 こういうのをどういった形容をするのだっけ? 新しい器(うつわ)で古いなんとかかんとか?ちがうな・・・
そ、それを14さいから15・6さいの女の子たちが制服を揺らしたり、手拍子をしたり、さ、さ、39にんだぞ! そ、それはずばり“ボーノ!×13”のレベルであり、彼女たちの素朴な感情までが音楽を揺らしているという点では、 も、もしかして、音楽ってそのようなものだったんじゃないか?と、なみだ目になる。
楽器は肉声に近づく、とか、音楽の本質にあるのは楽譜でも感覚ジャッジ神さまでもなくそれが放つヴォイシング=固有の声である、という、技法的に還元できない音楽のなぞの欠片。そして、音楽は揺れるのだ。スイングという技法でも分析家御用達の“ゆらぎ”でもない。
そうそ。ガキが歌ってるだけにしか聴こえないひとはひと。統一されない技巧の稚拙がさきに見えるひとはひと。
アンコールでレノンの『ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)』なんてサイテーな曲をいたいけな乙女たちに歌わせて、思わずあんたらボブゲルドフの手下か!ブッシュのイヌか!と虫唾がはしったのはその発案者はどうせ45くらいのチンケなおやじに相違なく。 しかしながらそのあとにやってくれた音楽の神さまのしもべのようなおばちゃんが振った最後のアンコール曲(曲目わかんねー!)のすがすがしい美しさはなんだ。
エンディングは39にんのボーノ!たちが「メリー・クリスマス!」と一斉に、そして会場に天国が降ってくるような39の投げキッス。
いやー、おれはおれなりにあまり知られていない音楽とかをどう誰かに伝えようかと、それによって音楽の神さまにフェイスを尽くそうかと、それなりに工夫をこらしてみたんだが、21世紀にもはやおれはいらなかった。 このコンサートについやされた多くの職人たちのきちんとした仕事、彼女たちが二度とない時間を結晶にして輝かせたような音楽の響き。
おれはこのコンサートシリーズのコンプリートコレクターになるぞ。年末年始を13連続夜勤で寒い夜に耐えるちからをぼくはもらった。欺瞞なキリスト教がきらいなわしじゃが、帰りの電車でメリー・クリスマスとつぶやいてしまったぞ。ありがとー、おんがく!
○「N児が選ぶ日本の歌50選 第2集」(委嘱初演) 編曲:北爪道夫、大竹久美、鷹羽弘晃 ○「詩篇頌詠」 作曲:三善 晃 ○「Toca taca tia...」(ルーマニア民謡) ○「Dies sanctificatus」 作曲:Huszar Lajos ○「Merry Youth Xmas」 そりすべり 南安雄 編 クリスマス 谷川俊太郎 詩/林光 曲 プチパパノエル 蓬莱泰三 詩/南安雄 編 キャロルによるカノン 高嶋みどり 編
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