わが師匠が、大腸ガンの開腹手術をした。おなかに生々しくタテに入った深い切り傷、というか、これ以上深い切り傷はないわけだけど。その腹部を縦走している切れた血の色をした肌の断層、縫った跡をみせてもらった。おれが親なら、「な、なんでこんな腹切られるような心配かけんだよ!」と、あたまのひとつでもはたきたいかもしれない。ガンの転移について担当医から説明があるという午後5時まで、音楽のはなしはほとんどしなかった。ペットサウンズとポールモチアンの音楽については出てきたっけ。転移していた、というメールがきた。