Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2005年07月16日(土) |
プリーチャー桜井が笑顔で繰り返す教義は「世界は素晴らしい」(『ap bank Fes ‘05』初日)・井上陽水 |
当日になってap bank Fesの会場が静岡県掛川の“つま恋”という場所だと知る。東京からざっと200キロ、静岡でも名古屋に近いほー。 チケット代8500えん、専用駐車場代4000えん、高速代片道5000えん、パンフ3000えん。あとガソリン代。それでも観たいのか。
そんでbank bandのベースは亀田誠治!になってておどろく。タイコ、山木秀夫。このリズムセクション、なにげに最強である。
ゲストが次々と登場。それぞれ持ち歌を披露し、一青窈、salyu、持田香織がbank bandのコーラスとして配置につく。 この3人の歌姫はそれぞれにわたしを感動させた(!)ことは、ほとんど想定外。ことに持田香織、きばかくしてるなあ・・・。
4時間におよぶコンサートはbank bandとMr.Childrenの二部構成。
ハイライトは井上陽水だった。「イェーイ!」と登場して、「傘がない」で圧倒する。変拍子ファンクのようなbank bandのグルーブに、妖怪のような60すぎの陽水の恫喝するような声のちから。「オイ、歌ってこういうちからのことなんじゃねえのかよ」と陽水は桜井を恫喝していたのだ。間髪入れずに「氷の世界」。この曲は、じつに過激なファンクであることをわたしたちは忘れていた。過熱してファンクするbank band、歌舞伎役者のように屹立する陽水、まさにこれは70年代マイルスバンドだ。「最後のニュース」に至っては、カタルシスに揺れながらも抵抗を試みる切実な辻説法。陽水だけがここで示せた“リアルに歌えること”、の、価値を、私たちは受け止めなければならない。
それにひきかえ、4時間出ずっぱりでホストをつとめた桜井の困難、である。 Mr.Childrenの曲目を見てもわかるとおり、エコ仕様のオンパレードで、救済を求める民衆を束の間開放させるようなゴスペルの様式ではないか。地球の画像を映し出して、「世界はすばらしい」と何度も歌い上げる桜井。新興宗教の集会のようである。 果たしてこれはミスチルのコンサートなのだろうか。 新曲の「未来」「ランニングハイ」では、旬な楽曲を歌うMr.Childrenの開放感が味わえた。これは良かった。結局陽水に対して示せたのは、現在を歌う自分たちのバンドのリアリティだけだったと言っていい。
エコをテーマにするのは構わないけど。ペットボトルなんて、昔のガラスビンのように1本10円で現金回収するしくみにするだけでいいはず。企業に向かって働きかけることのできない運動はそもそも運動とは言えない。
陽水はあの世捨て人にようなイントネーションで「サヨナラ〜!」と忽然とステージを去っていった。そこには陽水のメッセージと警告と願いがあったように思う。
(以下、曲目)
・bank band ★はゲスト登場 「プロポーズ」(KAN) 「ストレンジカメレオン」(the Pillows) ★一青窈…「もらい泣き」 「ハナミズキ」 ★salyu…「VALON-1」 「情熱の薔薇」(The blue hearts) ★Every Little Thing…「ソラアイ」 「WATER」 「恋文」 ★トータス松本…「ええねん」 「暴れだす」 「バンザイ」 ★GAKU-MC…「昨日のNo,明日のYes」 ★井上陽水…「傘がない」 「氷の世界」 「最後のニュース」 「糸」(中島みゆき)
・Mr,Children 「優しい歌」 「名もなき詩」 「未来」 「Over」 「雨のち晴れ」 「ランニングハイ」 「I'll be(アルバムVer)」 「いつでも微笑みを(弾き語りVer)」 「Everything is made from a dream」 「and I love you」 「Overture〜蘇生」 「CENTER OF UNIVERSE」 「It's a Wonderful World」
アンコール 全員(井上陽水だけはお帰りになられていたようす)で「to U」
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