Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2005年06月08日(水) |
「おっ!ビューだよ、ビューだよ」 |
天才マンガ家・花輪和一の『刑務所の中』を読む。(花輪和一は、なんで刑務所に入っていたんだ?) 受刑者たちの御馳走にありついた時の会話に「おっ!ビューだよ、ビューだよ」とあった。 ビューだよ、というのは、すごい、カッコいい、豪勢である、美人である、といった形容をするときに使われる。 この表現を活字で読むのは初めて。花輪は北海道の刑務所で受刑していたそうである。 先日亡くなった北海道の伯父さんが「おい、まーやん(わたしの幼少からの愛称)、ビューだよ、ビュー。」と、よく言っていたっけ・・・。 ・・・その声と発音のトーンが思い出される。 この“ビューだよ”ということばは、北海道だけの方言かもしれない。
ジャンルやレパートリーという牢獄から脱走してきた演奏家たちは、即興演奏家と呼称される。(おいおい、そんなんでいいのか?)
即興演奏家が放つ自由さといったものは、勝手気まま、奔放、融通無碍に置換されるものではない。 どこか生命の根源に触れるような性質の表現なのである。 ブルーズも淡谷のり子もマタイ受難曲もビリーホリディも高田渡もサイモンとガーファンクルもミスチルもおざけんすらも聴けないくらいに、人生に絶望したり恋人に去られたりカミさんに詰められたり万馬券を取り損ねたりした、そのようなときに。
死なないですむのが即興演奏だ!、という定義を、わたしは1998年にしている。
路頭に迷ったり、工事現場でこごえたり、多少気を病んだり、借金で苦しんだり、家賃を滞納したり、自堕落な放蕩に身をやつしたり、ビートルズの一員になった夢を見たり、ウルトラ万馬券を妄想して5せんえんすったりせずに、なにが人生か。
あれ?・・・。みみっちいか?
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