Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2004年11月22日(月) |
「2004 私のこの2枚」音楽サイトJazz Tokyo草稿 |
しかし、21日京都競馬場マイルチャンピオンシップ(GI)でデュランダルが直線一気33秒台でゴボウ抜きしたのにはシビれました。
高橋悠治のゴルトベルク、映像>■ 朝日浜離宮ホールに出かけたら、当日券はすっかり売り切れてしまっていました。なむさん。
ムーンドック(ルイス・ハーディン)のインタビュー>■
日本におけるミスターECMこと稲岡邦彌さんが主宰しているジャズサイト“Jazz Tokyo”■ わたしはコントリビューターとしていまだ籍を置かせていただいているだけの有様で、すっかり隠遁状態。実生活ではワーカホリック。 風邪で寝込んでいるところを、さっきも深夜に仕事に出ては1時間で片付けて、速攻でこのサイトへの投稿を仕上げる。
テーマは今年のベストCD。 アジカンもバンプもくるりもミスチルもハルカリもあがた森魚もオッケーだったあなたには、この2枚もどうぞ!と差し出す選りすぐり。 奇を衒った選盤と思われるむきもあると思うけど、いろんな音楽はいろんな音楽によって支えられているような気がするのです。 つねにオルタナティブなアンテナでいたいと基本的には思ってはいても、なかなか、ね。 Jazz Tokyoのコントリビューターが選盤したものは全部聴くつもり。そんでここで俎上にあげてみたいかな。お楽しみ、に。
「2004 私のこの2枚」
『black knight / Teo Macero』 ■ ごく稀に、音楽が人を聴くことがある。テオ・マセロがニューヨークで無名のピアニストを発掘して録音した『black knight』は、次第にそのピアニストがテオ・マセロとなり、そして聴いている私になってしまうという奇怪な盤である。ことの顛末はこうだ。マセロがこの無名のピアニストの演奏に電流が走るような衝撃を受け、「即興を弾いてみてくれないか?」と依頼した。そのピアニストはスタジオに入り、数片のピアノソロ演奏を残した。ピアニズムは技巧的ではないが、なにげに深い表現の彫塑を露わにした無視できない重さを放つ。そしてそのピアニストは行方知れずとなってしまった。マセロは4人の演奏家、ジョー・マネリ、DJロジック、ヴァーノン・リード、デイブ・リーブマンの即興を加え、『black knight』としてリリースした。聴き手である私は、マセロの欲望や4人の演奏家を通じて、“ピアニストの不在”を中心として意識が旋回し始める。この(ピアノの)音は誰なのか、という問いは、やがてわたしを照らし出すようなのだ。
『七つの子 野口雨情作品集』 ■ 童謡というのは過激である。昭和初期のSP盤の音源を完全発掘した本CDは今年のリリースではないが、日本ものの今年のベストに『うたううあ/ううあ』(CCCDを外して再発すべき)は外せないとするならば、このCDは知られるべし。童謡は、日本の民衆の中から歌い継がれて残ってきたもの、ではなく、1918年(大正7年)児童文学誌「赤い鳥」の創刊を契機に大正期〜昭和初期に創作歌謡として爆発的に作曲されて普及させられたものでした。無防備な耳で初めて聴くように鑑賞してみると、これらの作曲の大胆さと、素朴な歌詞の衝撃、そして何よりも歌っている女の子(平井英子ちゃん)の意識に圧倒されます。「南京言葉」「あの町この町」の文学性は言わずもがな。トニー・ウイリアムスやハン・ベニンクを通過したジャズ〜即興フリークに「うさぎのダンス」のバックの演奏を聴かせては、耳が瓦解するカタルシスを提供する日々であります。二度と手に入れられない音とは、このことです。
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