Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2004年05月23日(日) |
「COBALT TARPHONIC」第一集『雪ヶ谷日記 他二篇 / あがた森魚』 |
ひでしまふみか、で、検索してここに来られたみなさんこんにちは。おさがしのひでしまふみかはおそらくどこにもおりません。
2000年12月の「プラネッツ・アーベント」にて稲垣足穂の生誕100年を記念してリリースされたCD文庫「COBALT TARPHONIC」第一集。 『雪ヶ谷日記 他二篇 / あがた森魚』 1. Walrus Walrus (1:39) 2. 雪ヶ谷日記 (12:41) 3.冬のサナトリウム (4:09)
「菊の花をちぎって蒔き散らしたような星。サーチライトは着物の井桁のようだ。」
らいおんめりぃによる音響ロマンチシズムが“懐かしい未来”を映してこのCDの導入部を飾っている。 雪ヶ谷日記は、稲垣足穂が第二次世界大戦中に大田区のいすず自動車の雪ヶ谷寮に住んでいた頃に書かれた。そのテキストにあがた森魚が曲をつけて、また、朗読したもの。
終戦の9月9日の日記では 「黄橙色と紺色のぼかしの真中にひっ懸かった白銀の弓。ヘブル人が眺め、ヨブの眼に映じたのと同じ新月。――昨日、新宿で、白い星を描いたワゴンを連ねて乗り込んでくるアメリカ騎兵隊を見た。ヘルメットをかむった蝋人形の大部隊。これを茫然と見やる群集。浦上天主堂における一万人の犠牲も合せて、すべては新しい『旧約』の頁を繰っている気持ちである。」とタルホは記している。
「菊の花をちぎって蒔き散らしたような星。サーチライトは着物の井桁のようだ。」 これは、8月24日にタルホが郵便局の横でひろった女の子のノートらしき一片に鉛筆で書かれていたテキスト。
その女の子の眼を通して星空をまなざしている、という、いまの静けさ。
あがた森魚 1948年 北海道留萌市に生まれ 以降 小樽、青森、函館で育つ ただまさのり 1961年 北海道砂川市に生まれ 以降 函館、札幌で育つ
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