Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2004年05月10日(月) 『スキー・ジャンプ・ペア』

音楽サイト「musicircus」では党首タダマサノリ氏(21)の更迭辞任問題が浮上している。マニフェスト「ロヴァの耳」未完問題、このところのECM新譜連続未聴問題、および前行での年齢詐称の疑惑について、タダ派幹事長ホリウチ氏の防衛が限界にきている様子。
もとより、昨年のECM最大の話題作『ユニバーサル・シンコペーション』について、タダ氏は遊説先で「あれはジャズじゃないじゃない」「コリアにもマクラフリンにも必然を感じない」「ガルバレクの鳴らしは都はるみのあんこ椿に匹敵する」と暴言を続けており、党内外からの批判が相次いだことを受けて、幹事長ホリウチ氏は党内を取りまとめmusicircusとして音楽評論界に通用する400字レビュー()を公表し事態の収拾をみた矢先である。
さらにここで、タダ氏が新マニフェストで新しい即興シーンについてのモンダイ記述をしていることが発覚したのである。これについてタダ氏は「まだこの続きがあるんですよおー」と答弁したものの、「即興をボートクしている」「不愉快きわまりない」「アタマがわるい」「ステテコが似合いすぎる」など苦情が相次ぎ、さすがに理知をもって鳴るホリウチ氏も党内調整に難航しており、コアな即興ファンとの衝突は避けられないものと思われる。以下がモンダイとなった書き出しである。

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このところ注目されている音響系とか弱音系と呼ばれる即興演奏を聴くと、『スキー・ジャンプ・ペア』()を思う。
『スキー・ジャンプ・ペア』というのは、二人でジャンプして空中で手をつないだり、踊ったり回転したりする、架空の競技のアニメである。このありえない競技を、長野県白馬村からの映像をはさんで本格的に実況放送するものである。フィンランドのカウリスマキ兄弟!とかドイツの皇帝とか。真面目なナレーションが笑える。

たぶんそのようなものだと思う。
「おおっと、東京から来た小柄のギタリストの登場です。ギターを…、…、今、手にしました。…まだ、弾きません。まだです。今、指が動きました。音はしていません。おっと、アンプを通じて1音持続させているようです。かすかに聴こえています。あ、共演者がいました。箱のスイッチをいじっているだけです。…どうでしょう。なんと、相手の音を聴いてません。聴かないのがルールのようです。即興の常識を覆すコペルニクス的転回です。さあ…、聴かないでいられるのでしょうか。時おり音がします。スイッチはオン・オフしかなされていません。さあ、ギターはどうするのでしょう…。…なるほど、テクニックを要する表現も、旋律に聴こえる2音も、反応することも禁じられているようです。これは、芭蕉の世界なのでしょうか。…どうでしょう。音を出していませんが、目は真剣そのものです。これが日本の武士道でしょうか。演奏者は明らかに耳を凝らしているようです。…どうでしょう。この珍妙な安心感、究極のヒーリングが出現しているのでしょうか。演奏者はまったく反応していません。なるほど、やはり、相手の演奏を聴いてません。…どうでしょう。…おおっと、聴衆も誰ひとり聴いていません。」

アニメ『スキー・ジャンプ・ペア』は、現実の競技“スキー・ジャンプ”がなければ機能しない。
そして、まったく新しいカテゴリーの観衆を得ており、従来の即興を“オールド・スタイル”(スタイル!だったかー)と呼称する勢いである。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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