家に帰ってきたときに - 2006年01月11日(水) 彼氏の入院が決まった。 看護師にいろいろ細かい説明を受けている間、注射を打たれて朦朧とした様子で横になっている彼氏がつん、つんとわたしの袖を引っ張るので振り返ると 「…かえりたい…」 と言う。 祖父と祖母がそうだった。 見舞いに行くたびに、何度でも言う。 帰りたい。 家に帰りたい。 何度も何か言おうとして、必死に口をぱくぱくとさせる。でも肝心の声が出ない。 何度目かでやっとのことで搾り出すか細い声の訴えを、元気なわたしたちはそのたびになだめ、すかし、はねのけ、ごまかし、 冷静になろうと思ったけれどこれを思い出してしまうともう無理だった。 話の最中なのに、涙がまた勝手に出てきてしまった。 彼氏はそればかり繰り返す。 帰りたい。帰りたい。 家に帰りたい。帰りたい。 それをわたしはまた看護師といっしょになだめ、すかし、はねのけ、ごまかし、 でも決定的に違うことがあって、祖父母はそれから家に帰ることはなかったけれど、彼氏は祖父母とは違う。 まだ若いのだから。 彼は家に帰れるのだ。 だから泣かなくてもいい。泣かなくてもいいのだよわたし。 わかってるんだけどさ。 涙が止まらないんだよ。 わかってるんだけどさ。 -
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