Land of Riches


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 2019年06月15日(土)   悲しみを抱えて 

フォロワーさんが重複した長谷部のアクキーを譲って下さる(長谷部推しなのに!)と言うので
朝から品川で当日券にトライしました。何気に初めてです、今のスタイルになってからは。
あっさりハズレを引き、品川駅の港南口からSuicaが使えないバスでお台場へ。
(港区が運営しているものらしく、何故かiDは使える模様)

文化庁メディア芸術祭で、SCRAPの歌舞伎町探偵セブンも受賞し、
お試し版の謎解きが無料で楽しめると聞いたので向かったのですが、
会場がフジテレビ『湾岸スタジオ』だと気づかず、球体のある方のフジテレビで
バスを降りてしまい、大粒の雨に濡れながら20分以上、お台場を彷徨い歩きました。

結局会場ではキャバ嬢に話を聞くところだけ体験して、謎解き自体は参加せず。
そう言えば探偵セブンはLINEがスマホに入っているのが前提の謎解きだったな…と。
見知らぬ人(SCRAPが手配したキャストですが)に話しかけるリアル謎解きは
コミュ障にはハードルが高すぎました。夏の終わりにある完結編もこんなのかな…?

メディア芸術祭(文化庁と言われると博多くんの職場というイメージが強いのですが、
古くから続くものだけがカルチャーではないですよね…新しいものも文化。
そして税金でたくさんのスタッフが動員されているかと思うと不快感も正直あるけど、
文化は豪奢・贅沢の産物だとも同時に思う)自体はチコちゃん、宇宙戦艦ティラミス、
メタモルフォーゼの縁側、Perfume、森美術館で見覚えのある現代芸術etc.
馴染みのある作品もたくさんあって楽しく見れました。中でも釘付けになったのは、
見本の単行本が全10巻中9巻まで会場に置かれていたORIGINというヤンマガの漫画。

別に最終巻だけ買わせたいという出版社の策略ではなく、最終巻が出たのが
芸術祭が始まった6/1より後(6/6)だっただけだと思われますが、
むさぼるように読みふけり、帰り道に10巻を買ってしまったのでした。
作者のBOICHIさんは描き込みが凄いとサンケンロックから名前は存じてましたけど、
ガラケー時代に女性刑事とアンドロイド男の恋愛ゲームにハマった私には
主人公ORIGINとロボットオタクのヒロインとの関係はクリティカルヒットでした。

製作者たる「父」の最後の言葉をセントラルドグマとして、感情がないなりに
超高性能のAIで論理的に解釈して振る舞ってきた主人公が父子待望の
“感情”を得たのは、ヒロインを失った悲しみと怒りからでした。
ラストバトルで神にも近い超越的能力を得て勝利を収めた主人公ですが、
自分に恋をした女ロボットは復活させたのに、父とヒロインは蘇らせませんでした。

ちゃんと生きる。
「父」の最後の言葉は。
悲しみは、悲しみとして抱えて生きていくことを内包すると。
主人公は解釈したのです。

慈伝が、末満さんの恩人の訃報を宴会中に受けた際の心理を元にした
“悲しい出来事があっても生きていかなければならない”というテーマだったのもあり、
2ページぶち抜きで悲しみを悲しみながら生きていくと呟く主人公の姿は
ぐさりと刺さりました。BOICHIさんは東日本大震災に強い影響を受けたようですが…。

魅力的なものに出会って夢中になる。久々の体験でした。幸せで、嬉しかったです。

2019.6.16 wrote


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