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 2019年02月23日(土)   物・人・神 

好天に誘われて、ふらふらと渋谷の國學院大學まで行ってきました。
入場無料なのに箱根神社の薄緑やらソハヤ写し等が出展される刀展をやっているのです。

twitterでそのニュースを見かけた時は何故と思ったのですが、
(國學院大が国学メインなのは流石に知ってる)
第二次大戦後、戦犯の武器として処分されそうになった日本刀を
美術品として残す尽力をされた本間順治・佐藤寒山の両名も國學院大出身でした。

別に狙ったわけじゃないのですが、たまたま勘違いで原宿で下車し、
google先生の案内でさ迷い歩いて到着したら
ミュージアムトーク直前だったので、
参加してきました。國學院大OBのふくやま美術館長が講師でした。
刀剣の専門家がいるから、小松コレクションも安心して寄贈されたのでしょう。

館長曰く國學院大らしいという展示テーマ「神に捧げる刀」。
白山吉光がとうらぶに実装されたばかりでもあり、タイムリーですね。
剣たる彼をはじめ、神社にある(あるいはあった)男士が多いのは、
日本の名だたる神社には大抵、刀が存在しているから。何故か。

1.刀がご神体(熱田神宮や高知の古代刀が埋葬品以外でも美しく現存している例)
2.神の調度品として用意(伊勢神宮で20年ごとに作る物など。刀はあくまでone of them)
3.祈願あるいは成就の感謝として奉納

石上神宮の禁足地から明治時代に発掘されたフツノミタマの写しが1振り目。
(発掘を決断したのは当時の宮司だそうですが、度胸ありますな)
フツノミタマは鹿島神宮にも巨大直刀がありますけど、こちらは平安以降っぽいとか。
石上神宮のは古墳から発掘された古代刀にスタイルが似ているのです。

箱根の薄緑も、反りは浅く恐らく平安にまでさかのぼれない模様。
薄緑と呼ばれる刀は大覚寺の著名なの以外にもあるそうです。
とうらぶの彼は集合体(総体)扱いですね。
展示には「彼」の由来が書かれた平家物語の派生本(剣巻や盛衰記など)が
いくつもあり、興味深かったです。語りではなく読み物になった時代の平家物語ですね。

後北条氏が鶴岡八幡宮に3振りセットで奉納した(奉納刀は銘が長かったり、
目釘穴が一つきりなのが特徴)刀は、典型的な3番のケース。
こちらは拵えまで展示されていました。

鹿島神宮から借りてきた景安は水戸初代藩主・頼房の奉納品。
館長は刃文などから長船ではなくて古備前と判断されたようです。

最後は久能山のソハヤの写し。黒漆の鞘(今回は展示無し)に
身幅の広い家康好み。これが三池の作と断じられたのは、丸棟が大きいそうです。
享保名物帳ではなぜか過去とは異なり評価の高くない九州鍛冶、
左文字(江雪も)や光世(大典太)が丸棟なんだとか。

ギャラリートークの延長線上として行われたため、話を聞いた後に
実物を見ようとガラスにへばりつく列が凄かったです。先に見ておいて良かった…。

というか、無料であれだけの土器や祭祀系史料を見せてくれる上に、
トークの会場となったホールは机が椅子の背面から引き出せるだけでなく
LANジャックとコンセント(PC板書を想定しているのでしょうか)が
全部ついていて、私学って凄い…と改めて感じました。私も私学の出身ですが。
大学は国公立に比べると私学は圧倒的に綺麗だといつも思います。

本当は夜の応援上映を予定してましたが、どうにも寒気がしたので撤収。
3駅回ってようやく上野駅で遊印録弁当を発見し、晩ご飯にしました。
特典ポストカードがスクウェア型なので、地味に困ってます。
ポストカードアルバムに収納できないじゃないですか(苦笑)


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