Land of Riches


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 2018年10月03日(水)   Secure Base 

安全基地―子どもは安心して帰れる場所(通例は母親)があると、
冒険する範囲を広げることが出来るという発達心理の用語。
現在では成人にも適応されると考えられているようです。
誰かに気にしていてもらえる、というのは人の心にとって重要なんですね。
3次元アイドルのイベントで認知が“切れた”事象が重いのも、一例かもしれません。

水曜は働き方改革の歪んだ取り組み(弊社の働き方改革は在宅勤務といい、
フレックスタイムといい、有休消化日数といい、手段が目標…ノルマとなっていて、
むしろ日常の仕事を圧迫している)の結果、18時には基本的にオフィス追い出されるので、
レディースデーだし、フォロワーさん激推の映画「パパは悪者チャンピオン」を
見に行こうかとTOHO新宿に向かった…のですが、完売だったので、
仕方なく封切られて日の浅い劇場版「夏目友人帳」を観賞してきました。
ポップコーンのいきなりステージ味は翌日になっても肉の臭いが取れないなかなかの代物…。

私が夏目友人帳と出会ったのは、熊本の鶴屋の向かいにあるミュージアム。
原作者が熊本出身なので、ミュージアムにある熊本出身者の作品ばかり
並べた棚(ワンピースなど)にあったのです。空港までのバスの時間を潰すのに、
バス停のすぐ裏にあるミュージアムは都合が良かったんですね。
そこのスタバもよく行ってますが、ミュージアムのロビーはタダですから。
夏目友人帳は短編連作の水戸黄門方式なので、尚更時間潰しには向いているという。

アニメも6期まで製作されている根強い人気を持っているのですが、
劇場版は今回が初めてだそうで。意外です。と言っても、ストーリーの軸は
いつもと同じ…最後には落ち着くところに落ち着くんだろうなという展開でした。
だから見ていて、たとえニャンコ先生が分身しても安心感があるというか。

主人公の貴志(CV神谷浩史さん)は両親を早くに亡くし、親類宅を転々として育ちます。
妖怪が見えるばかりに周囲からは気味悪がられ(劇場版でも回想で出てくる)、
孤独を深めていく過程は祖母のレイコと瓜二つ。しかし、そこで人間との付き合いを
諦めてしまった(その割には主人公という孫がいるんですが…)レイコと違い、
心優しい養父母と巡り合い、見えることも受容してくれる人間の学友、
友人帳という力関係のみに依存せず快く協力してくれる妖怪たちにも恵まれた結果、
現在では今回の劇場版ゲストキャラたちのような、やはり過酷な境遇の人々を
逆に思いやれる余裕を備えました。周囲が彼のセキュアベースなんですね。

私は家族と不仲ではないけれど、世間話が精一杯だから、安全基地を持たないのです。
だから自分も他人も大切に出来ず傷つけてばかり、殺伐とした人生になってしまっているのです。
頭で理解していても改善できないのが、物凄く癪なのですけれども。

2019.10.5 wrote


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