Land of Riches


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 2018年06月21日(木)   人外の物語 

ジョ伝で日本号を演じた成松さんのツイを見て、勢いだけでチケット取った
「鬼切丸伝」再演に行ってきました! 18時開演の公演を退社後に行くのは
リスクが高すぎると学べたのが一番の収穫でした。刀ステの時は絶対半休取ってやる!
(会場のスペース・ゼロも初めて行ったので、google mapのお世話に)

新・平家から源平合戦好きになり、平家物語で卒論を書いた私にとって
源平を取り上げた創作は好みでもありますが、同時に地雷を踏む確率も高くなります。
特に今回は卒論のテーマとした平知盛が出るというので、半分は戦々恐々でした。
原作の鬼切丸は、現代編は(私の記憶が確かならばクラ選遠征での時間潰しで)
読んだことがあるんですけど、過去編は未読なので、源平絡みは初見です。

出生時に宿命づけられた(これの回顧をしてくれたのは正直かなり助かった)
無条件の鬼殺しに邁進する鬼切丸。これは現代編と同じです。
ですが、その過程で鬼になり果てながら五条大橋で牛若丸に忠誠を誓った
成松さん演じる弁慶が気になり過ぎて、鬼切丸は源平合戦に足を突っ込むことになります。

純粋過ぎて人外ばかり周囲に集まってくる義経(弁慶は鬼、那須与一は鷹の化身、
静は桜の妖精)、戦い無き世のために時には人の心を踏みにじる頼朝、
滅びの坂を転がり落ちる平家。物語は源平合戦でよく知られている展開通り進むのですが、
鬼切丸誕生時に腹を食い破られて大ダメージを喰らった酒呑童子を復活させるべく
暗躍する茨木童子たち鬼が平家や奥州藤原を利用しようと絡んでくるのです。

とにかく登場人物が多く(鬼切丸以外は創作含めよく知られている名前ばかり)
それらの関係が作中でほとんど説明されないので、普通の人にはついていくのが
かなり難しいのではと想像できました。アフタートークでは知盛演じた
鮎川さんも自分の役の名前とその兄を混同してましたし。
普通の人は清盛の息子の名前を兄弟順にスラスラ並べたりできないよ私(笑)

酒呑童子ら大江山の鬼に立ち向かった頼光と四天王、鬼でありながら人を愛し、
その後も人の味方である鈴鹿御前辺りはFGOなかったら理解できなかったでしょう(苦笑)
まさかFGO知識がゲーム外で役に立つ時が来るとは…!(鈴鹿はセイバーなの納得)

原作者twitterで知盛が舞台オリジナルキャラなのを知りました。
義経チームが人外だらけ(与一も舞台オリジナルとか)でファンタジー感強いのに対し、
平家トリオは平家物語からそのまま出てきたような性格をしていました。
教経は勇猛で、知盛は物静かに未来を憂い、宗盛は怯懦で当主に不向きと。

鮎川さんは黒バス舞台で紫原を演じるぐらいの長身イケメンなので、
シルエットでも出てきたのがすぐ分かっちゃうんですよ(便利)
刀ステで感覚が麻痺してますが、この鬼切丸伝も殺陣十分に凄いレベルで
(特にラストの弁慶の薙刀振り回しは勇壮だった)かっこよかったです。
平家トリオの最後の身投げも、ちゃんと平家物語準拠でしたしね。
知盛にはうるさい私でも十二分に満足できました。
歴史ものの創作は難しくもあり、ハマるとその分面白くて楽しいですね。

この舞台には鬼切丸のバディとして、渡辺綱の鬼退治に賭ける誓いを
正面から受け止めた刀の精霊としての童子切安綱も出てきます。
刀剣男士っぽくもあるのですが、最大の違いは、彼に人に作られた道具だから
人に従わねば意識が薄いところ。彼なりに鬼を切りながら人を観察し続けて、
弱さを含めた人間を愛おしくなって現在に至る…という設定、なかなかうまいですよね。

2018.6.24 wrote


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