Land of Riches


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 2018年01月30日(火)   綺麗ごとだけでは仕事は務まらない、か? 

ジョ伝のライビュは職場の隣駅だったのに、何を思ったのか月末開催なのに
自宅と職場の間の劇場でチケットを取ってしまったため、仕事も片付かないのに
オフィスを飛び出して行く羽目になった刀ミュつはもののライビュ、行ってきました。

ミュ・ステ共に「歴史を改変するバグである時間遡行軍と、ワクチンとして
戦う刀剣男士」の枠を超えていると評された最新作。個人的には、これまで
ミュの大楽は全部ライビュで見てますけど、一番後味悪いかな…と感じました。

ミュの初演である阿津賀志山。今剣は旧主である義経との間柄に悩みながらも
どうにか乗り越えて現在に至っているのですが、今回ミュ本丸は髭切・膝丸という
源氏の重宝を同時に迎え、再度、源平合戦への出陣となりました。隊長は今剣。

自身を創作物だと知らない今剣、それに気づくのではと過剰に心配する岩融、
弟の名前以外も大らかすぎてほとんど気にしていない髭切、
そんな兄のフォローに奔走する膝丸。まとまる要素が希薄な部隊が抱える
最大の懸念材料は、審神者が監視を密命として源氏兄弟に下すぐらい
近頃の単独行動が怪しい三日月なのでした。ぬしさま一番の小狐丸は
主人を心配させる三日月を、特に気にして目を配ります。

作中で、この部隊に創作の二振り(今剣・岩融)がいるのは有名だが、
存在があやふや(現存しているが同じ号のものが複数あり、実態が定かではない。
小狐丸・髭切・膝丸が該当)な刀が大半で、唯一、三日月だけが
モノと名前が一対一で結びついている道具だと説明されます。

確かな名を持つ道具たる三日月は歴史に確固として刻まれた存在で、
同様に、なしたことが教科書に載るレベルの人物である頼朝や藤原泰衡に
親近感を感じ、審神者の命を超えた行為であると自覚しながら接触します。

阿津賀志山に単独(?)で幾度も出陣している三日月は、頼朝や泰衡が
時間軸によっては義経を生かす(正確には情が湧き過ぎて殺せない)心境に
陥るパターンも知っていて、その修正として直接接触・対話による
“歴史でなすべき役割を果たせ”という洗脳(時には操ることもあった模様)を行います。

存在が曖昧な男士は人々の物語への情・思い入れを元に顕現しており、
小狐丸は弟想いの頼朝を弟殺しに誘導する三日月を許せず、対決します。
しかし、頼朝が時間軸によっては佩刀していた髭切の記憶によって
接触経緯がバレてしまい、最終的には三日月は自分とは違うアプローチで
主命を果たしている(正しいとは思わないが、間違っているとは思わないようにした)と
考えるようになりました。うーん、これHAPPYでもBADでもないノーマルエンド?
2/1追記:twitterでお互い探り合う平安太刀だらけらしい展開という感想を見て多少は腑に落ちたかも。

つはものの時間軸では、義経に生き延びて欲しいという頼朝や泰衡の気持ちを、
兄弟対決など歴史上の記録される出来事を説得や洗脳で行わせた上で、
北行伝説を採用し生き延びさせる(衣川の戦いは発生させて、それは記録させている)という
選択肢によって三日月は汲み取ります。審神者はこれを知っているのか、という
小狐丸の問いに、汚れ仕事は自分一人がやっていればいいと言う三日月。
監視させてる時点で審神者もうすうす気づいているとは思いますが、
ステとは違う意味で三日月が黒幕でいいのか…と個人的に思いました。

刀剣乱舞は多彩なメディアミックスが展開されていますが、
敵の正体が全く分からないどころか人語を話すこともできない
(某劇画誌でも喋った槍に監修が入ったくらい)という強烈な制約があります。
ゆえに、近頃の2.5次元では敵の設定に工夫という名の四苦八苦が見受けられます。
たとえば、ステでは鶴丸が黒化したり、官兵衛が敵と手を結んだり。
(こうすることによって敵の意図を語る者が板の上に立つことができる)

もやもやするのは、間違いなくジョ伝の脚本の完成度が高すぎて、
それと対比したら何もかもが霞むからなのは分かりきっています。
あの脚本で、最後満面の笑みという救済を手にした男士が推しの長谷部なのは、
全くもって幸運というしかないんですよ。今、70振りもいますから刀剣男士。
(プラス極が30振りいるので、ゲームに新ボイス実装となったら100も用意しなきゃいけない。
豆まきイベント楽しいです。まさか福は十分という薬研にキュンとするとは)

緻密な連作となっているステとは別の方向で三日月が暗躍していたミュ、
これから一体どこへ向かうのでしょうか。次は新選組+巴、その次は三度目の阿津賀志山です。

…ミュでもみほとせの完成度が高く感じられたのは、30代の役者さんが
青江や村正を演じたからでしょうか…ステは以前から役者の力量で押し倒す路線ですが…。

2018.2.1 wrote


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