Land of Riches
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※朝起きる前にupしたトラウマtalkは昨日付へ移動しました。
「ってことは、この試合やべぇ! アンタなら勝てますよ、がんばれ、跡部さん!」 「うるせぇ切原、外野は黙ってろ!」
これは新テニ11話の入江vs跡部戦で出てくるやり取りです。 鬼から入江が跡部よりはるかに格上だと聞かされた赤也は、弟分の気性ゆえ 素直に跡部を励ましますが、誇り高い跡部は激励を拒む言葉を返します。 このやり取りに、恥ずかしいだろうと指摘する入江ですが、 跡部は入江の弱点を見抜くことに集中したかっただけでした。 プライド高いですが、勝利のためならそれも捨てられるのが、真の跡部だったのです。
なんでこんな話をしているかというと、日本がワールドカップの初戦を落としたから。 本田さんのゴールは凄すぎた(Jリーグにいる日本人選手なら、あのシチュエーションでは シュートまで持ち込めないか、かろうじて打てても浮かしそう)けど、 それを除けば、相手の身体に圧倒され…特に守備陣が揃って警告もらったのが痛く。 コートジボワールのゴールを生み出したクロスの正確性と、シュートの当て方には 脱帽するしかなかったです。そして、ドログバのカリスマ性も。 日本サッカーはまだまだ発展途上なんだな…と強く感じました。
そして、その敗北が強く刻み付けられたのは、夕方に見たユースの試合のせいです。 レイソルユースは、船山さんがキャプテンだった時、那須での9位決定戦で敗退した年以外、 私が見始めてからは全て夏の全国大会に出場しているのですが、 今年は那須にさえ行けないかも…という苦境に追い込まれてしまいました。
レイソルユースを取り巻く環境は、船山さんの頃とは大きく違います。 アカデミー専門のスポンサーがいて、海外遠征だってたくさんやってます。 在籍リーグだってプレミアですし、代表だけでなくトップチームにも良く呼ばれます。
代表の試合でも感じましたし、最近、船山さんを見ているとよく思うのですが、 サッカー選手は肌が蓄積してきた経験を直観で出しているだけに見えるんです。 先日のシャビ&イエニスタを分析した番組でも、そんな理屈だったような。
船山さんは小学生の頃から、徹底マークばかりされて育ちました。 チームの戦跡は、良かったり良くなかったり。白星と黒星を無数に重ねました。 長い時を経て、今、Jクラブの10番としてセンスを発揮し、エースと称されています。 技術や体力だけでなく、視野…そして今、何をすべきかのチョイスに秀でています。
では、経験値が高くない、若い世代の選手は何を武器にして戦えばいいのか? 若いからこそ、恐れを知らぬからこそ選べる選択肢だってあるはず…?
勝つことが全てではない。 トップに昇格することが全てではない。 プロになることが全てではない。
Jアカデミーは、目先の試合に勝つために設けられた組織ではないはず。 何のために…簡単に説明するのは難しいけれど、分かりやすい答えだけではないだろうと 意地を張っているからこそ、現役より卒業生を優先している節はあります、私が。
卒業して、いろんな道へ一人で放り込まれて、それでも戦い抜ける素地を作ってあげること。 それがJアカデミーとして優れた素材に施すべき教育ではないのか?
レイソルユースにはホームがありません。客に騒がれるのも慣れてません。 (オーディエンスがどれだけ選手に影響を与えるか…は、今年の関クラ予選で 学べたことと言えるかもしれません。今日になって初めてレイソル父兄はキャーキャーと…)
試合は次から次へと組まれていますが、ある程度勝ち上がらないと味わえない 独特の緊張感はありますし、またまとまったお金がないと立てない舞台(e.g.海外)もあります。
全ては経験。血肉となって、後日、真価を発揮するもの。
ベンチでの全員円陣から始まり、ピッチ内11人円陣もやたら気合入っていて、 序盤から前がかり。レッズにカウンターで付け入られ、邦本くんの規格外プレーに翻弄されます。
できることなど、これまで積み上げてきた時間でやってきたサッカーしかないはずなのに。 視野が狭まり、ボールをフィニッシュまで持っていくことが出来ません。 レイソルの2点はセットプレーと、長らくテンションが空回りレッドゾーンで、 後半になってようやく周囲とかみ合える域まで“落ちて”きた会津くんでした。
最後の最後に邦本くんのスーパーループが決まってレイソルは敗北しましたが、 この決勝点は結果論で、焦ってシュートへ持っていけなかったり、レッズと違い ピッチ内にキャプテンシーが欠落していたり、そもそもベンチが…といった 雑多な要素が積み重なった末に導かれた結末、という印象を受けました。
白川くんは面白いタッチをするんだけど、横にドリブルするから怖くないんだな〜。
私がレイソルユースから受け取っていた楽しさは、長い歳月の間で磨耗しました。 美しいけど脆い。それは既に遠い過去となってしまった…とされていますから。 あまりに多くの白星と黒星、あまりにさまざまな卒業後の姿を見てきて、 期待を抱くのが難しくなってきてしまいました。今の私は、ゴールが入っても喜ばず、 遠征先でご贔屓さんがベンチに入らなくても落ち込まない、そんな悟りを開いているのです。
…だって、昔、そういう不動の沈着さを持ったフットボールフリークになりたいと思っていたから。
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