Land of Riches


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 2003年11月23日(日)   Role-Play 

LR書き出してからもうすぐ3年(結構長い)になりますけど、未来日記を書くのは
初めてですよ。いや、単に土曜付に書くのは、あまりに長いかな、と思ったので。

NHKでやっていた後藤真希主演の(厳密では主演じゃないような)ドラマ「R.P.G.」、
夢中になって見てしまいました。その前にやっていた松浦亜弥主演のフットサルドラマは
笑いながら見てたのに…いやはや。タイトルでピンと来る人も多いのかな、
原作は宮部みゆきです。私、この人の著作は一度も読んだことないんですけど。
最後の最後までひねってあるのは巧いを通り越してくどいとすら感じましたが、
書きたいのはそこじゃなくて、物語を貫く大きな軸である“ネット上の疑似家族”について。

大学2年の時、辞めてしまったサークル(の部室)に代わり、パソコンルームで
暇を潰すようになった私が居着いたのは、某大手サッカーチャットでした。
それなりの上下関係があるサークルにいた私にとって、誰もが(現実世界での
年齢や肩書に関わらず)対等なチャットは居心地が良くて、最年少―その頃は
ネットで中高生といえば珍しがられる存在だった―の甘えもあって、今思うと
確かに痛いと思うような、いけないことをたくさんしました。もっとも、当時は
ネット人口が少なくて、そんな場所へ常駐しているような“オトナ”は、実社会でも
またネット社会でも経験を積まれた方が多く、いろいろお世話になってしまいました。

基本的には誰でも…年下の方相手でも「さん」付けだったり敬語だったりするのは
当時の価値観が色濃く残っているからであって、いまだに私はチャットで「敬称抜き」で
会話するというのが苦手で、それがルールだと言われても「さん」付けしてしまいます。

ともかく、現実世界に比べると人と人との垣根が低く、出会い自体が簡単で(同時に
それは別れも簡単だということなのですが)しかも相手が本来、身近ではないために
身近な人よりも助言やら励ましやらは気楽にしやすいのもあって、私も今まで
何度となく愚痴を書き連ねては励ましてもらっているので、疑似家族が出会う過程の
やり取りが本当、他人事には思えなくて、息を呑みました。実際、私も現実と空想の
壁を乗り越えようとして跳ね返された(今思うと、きちんと跳ね返してくれる相手で
良かったわけですが)経験があるので、そこでキレて殺人なんかに走らなかった自分を
褒めてやるべきだと思います…とまで言うと、やりすぎですが。ヒヤヒヤしました。

しかも、相手にアプローチをかける手段としてロールプレイング(なりきり)を
使うというのが、更に笑えないのです。もはや私にとって趣味ですから、ロールプレイは。

演じる快感というよりは、自分の嫌な部分だけ切り捨てる(隠す)ことができるのが
気持ちいいのです。それがモンスターを倒す戦士だろうが、一軍を率いる将だろうが、
はたまたごく普通の高校にいるサッカー部員だろうが(列記してみると浮かんできますが、
演じる場合は圧倒的に男をやることが多いです。これもデビューの頃に女だという理由で
いろいろされた後遺症だと思われます)似たようなもので―極論すると、複数の
ハンドルを所有して使い分けている時点で、既に演技です。やっている人はもちろん
一人きりですけど、どの部分を切り出すかによって疑似多重人格になれるというか。

しかも、演じる役割による制約はあるにしても、それ以上に、演じているからがゆえに
許されるワガママ(素の自分では許されない、あるいは不可能なこと)がたくさんあります。
これは演じる役が現実に近いほど多くなってきて(古代日本のなんたらかんたら、では
現実を投影できる部分はどうしても少なくなります)現実との区別が付けにくくなります。

虚実皮膜―演じることを楽しんでいるくせに、過剰にのめり込んでいるくせに、
所詮は演じているだけなんだと割り切って冷めている部分もあるのです。
…演技はどう考えても現実よりも理想の方に近いのに。
素を晒せないのが私の欠点なのに、ロールプレイが好きだなんて言っている時点で、
自分自身そのものに自信が持てないんだと看板つけて歩いているようなものですが。

サッカーは、まだオフラインで会う機会が多いから、極度な勘違いに走る危険性も
低いジャンルだと認識してます。会わないほど想像もとい妄想は募りますから。
ネットへ漬かっていると、人は所詮、名前でしか区別されない存在だと痛感します。

2003 11 22 wrote


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