Land of Riches
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人が人を見定めるほど難しいことはないように思います。 父親が総務部にいた頃、そういう仕事をしていてよく愚痴っていましたし、 現在の私も時給を上下動させられる評価面接の真っ最中で、金曜日に(私から見て) 不当な評価を受けたのに抗議して、10円の昇給を勝ち取れるか否かが火曜に決まるという 状況にあります。なんとなく私の評価が下がってしまうのは、感情を面に出すのは 美しくないという私の美意識に問題があって(愚痴や悩みを抱え込む性格だからこそ このLRのように想いを綴れと言われるのですが、実際は書けずにいます。物書きとしての 役に立たない自尊心やら、何よりこれを読んだ方に私がどう映るかを恐れて) 簡単に言えば「他人にやる気が伝わりにくい」のです。
私は、自分が好きなことにしか熱中しない性格なので。 だから喋りの高速ドリブルを繰り広げるジャンルは限られているのです。
それはさておき、クールに振る舞うことを否定的に見ているわけではないのは、 たとえば先日もJヴィレッジで鹿島ユースの吉澤くんや三菱養和の吉田くんの 果敢な声出しを好意的に受け止めたことでも分かります。山本拓弥くんや丹羽くんも 部類としては同じでしょう? 自分ができないことをできる人が好きなのです、昔から。
近頃は不思議なことに、高い金を払わざるを得ない試合ほどつまらない傾向があります。 筆頭は言うまでもなく各カテゴリーの代表戦、次がJ1。ここ最近見たサッカーの中で 一番楽しかったのがクラブユース選手権なのは、私に原因があるのか、それとも…。
【まっちぃ】 7/24、京都・四条河原町生まれ。常に同じ表情で 多くを語らないため、周囲への興味が希薄だと思われている。 特技はとにかく高く飛ぶこと。空中で止まって見える。 先日も常磐線車内やJヴィレッジで何度も宙を舞った。 「…スライムは飛び掛かることが攻撃だから」 趣味はオセロ。もっぱら携帯にて独り楽しんでいるらしい。 (7/26掛川駅・東海道線ホームにて撮影)
西京極へ行ってきました。サンガvsアント。両チームとも低調に喘いでいるので、 さして内容に期待はしていなかったのですが―Jヴィレッジ行きの前泊のため、 それほど気乗りせずに行った国立のレイソル vs ジュビロ並みに中身のない試合でした。 国立はあれでも優勝争いに絡んでいたかと思うと、本当に泣けてくるのですが…それ以上に どちらのチームにもそれなりの思い入れができてしまった現在、その両方がダメだと 何に救いを求めていいのか分からないのです。昨日の西京極もそう。ただ、強いて 挙げるなら、勝利への欲求がサンガの方に感じられたのには救われたかもしれません。 …たとえ、それの表現方法、それを求めるために実行されたプロセスがガタガタでも。
先日の南津守(セレッソサテvsサンフサテ)ではありませんが、仮にもプロの公式戦で ありながら、選手から勝とう、勝ちたいという意思が感じられないと切なくなります。 そんなことは、プロなら大前提条件として達成されていて当然のはず。 しかし、実際は大きな大会=一発勝負に賭ける意気込みのある二種の方がそれは強いのです。 サテリーグあるいはJ1中位の消化試合になんぞ、モチベーションあがらないと言われても 仕方ないのかもしれません。でも、本来はそれでは済ませられないはずなのです。
内容壊滅のため、得点の気配をどちらからも全く感じることができず、予想通り、 試合を動かしたのはセットプレーでした。中田浩二さんのヘッドが決まった瞬間の、 曽ヶ端さんがサポ席へ向けてしたガッツポーズだけが、鹿島的には唯一良い記憶として 私にはあります。あとは…何を評価すれば良いのでしょう?ベテラン揃いのDFラインに 組み立てる能力が皆無なのは分かりきっていますけれど、そんなことは求めませんけど、 単純なスピードあるいはテクニック勝負で振り切られ、何度もピンチを迎えたのには どう言っていいのか分かりません。角田さんは自他共に認める攻撃参加大好き人間ですが、 それでも彼は右SBとしては素人同然なのです。少なくとも相馬さんに比べたら。 相馬さんが角田さんにまた抜きされた瞬間、私は凍りついてしまいました。 さんざん指摘されている“衰え”という現実―老いの恐怖を直視しろと神が、運命が 叫ぶように、左サイドは誰が見ても明らかな穴となり(その責任が相馬さんだけにあるとは 無論言いませんが、責任の多くが相馬さんにあるのは事実です)何度もえぐられました。 黒部さんや町田さんは確かによく点を取りましたが、それは褒められるべき事実ですが、 鹿島側から見れば、取られるべくして奪われた失点でもあるのです。
膝をぐるぐる巻きにしながら流れを引き寄せた黒部さんがエースとして支持されるのは当然で、 町田さんが彼より祝福してもらえないのも必然で、でも町田さんがとんでもない打点で 叩き込んだ瞬間に、逆側のゴール裏からも彼の仕事だと即座に知れて、何より、 その後に町田さんがサポに駆け寄ってガッツポーズをしていた姿が切なくて、 サンガは本当に勝ち点が欲しかったんだと分かって、それに比べて…と思って。
サンガは頑張ったけど良かったわけじゃない、アントラーズが自滅しただけなんだ。
サンガのFWを語るなら、アントのFWも語らざるを得ません。手島さんのラインコントロールに 次々と絡め取られていったFW陣を。そこに至るまでの経緯―出てきたボールからは 全くパスメッセージという概念が感じられなかった(これは前節のレイソルからも 強く感じたこと。誰かがどこかで鹿島と柏は似たサッカーをしていると言ってましたが、 あながち的外れではないかもしれません)のですから、FWばかりは責められないかも しれませんけど、とにかく点が入る気がしなかったのです。イムに潰され、後半からは CBチックに覚醒した角田さん(深井さんとの削りあい、熱かったです。明らかに その接触で私が練習を見に行った先週木曜に傷めた部分をまたやってたんですが…)にも いいように止められ…平瀬&エウレルも大概でしたが、後半の鈴木&深井はひどかったです。 隆行さんは本当に途中出場なのかと首をひねりたくなる運動量のなさ。そして、 そのとばっちりを受けて、角田さんとの空中戦を強いられたり、とにかく孤軍奮闘の 深井さんを見ると絶望的な気分になりました。違う、深井さんは後ろ向きにボールを 受けても仕方ない、それは“巻の仕事”だ―実は昨日、巻さんは点を取ってるんですが、 今更ながら「深井あっての巻、巻あっての深井」なのを痛感して。ルーキー中島さんが 帯同しているという情報を前日にゲットして驚いたのですが、それも必然でした。 …高卒新人にも期待しなければならないFWの層の薄さ、先駆者の駄目っぷり。
試合を見てても淡白な気分にしかならなかった私を最後に待っていたのは、ゴール裏への 選手の挨拶でした。隆行さんを筆頭に、小笠原さんなどほとんどしない選手が多くて、 ベテラン勢と中田キャプテンがそれなりにした後ろで、ただ独り、約10mおきに深々と 頭を下げて歩く深井さん…その姿も泣けましたが、それ以上に、他の選手には容赦なく ブーイングを浴びせていたサポが、彼が独り取り残された形にとなると、途端に 拍手の嵐へと変わり、「深井頼むぞ!」という叫び声が途切れることなく続いたのには、 久々に涙を流してしまいました、本当に。深井さんがサポにやたら愛されているのは 試合中から分かっていたのですが、何かがおかしいのです、違うのです。
深井さんが愛されるのは、そうやって申し訳なさをストレートに伝えたり、あるいは これまた唯一、終了の瞬間に地面へ拳を叩き付けて悔しさを表現したりするからであって、 決して結果を出しているからではないのです。だって、彼が結果を出していたならば、 当該試合は鹿島、負けてないはずですから。よって、本来なら彼もブーイングを 浴びるべきなのです…他の選手がそれを浴びせられた理由があるのならば。
FWは、『Footival』の宇野沢さんではありませんが、出たら点を取ってくれそうだという 理由で支持されるべきなんです。そう、黒部さんのように。寄せられる期待に応えてこそ エースストライカーなんです。今の深井さんは、プレーを評価されているというよりは、 むしろシンパシーの対象として好感度をあげているだけなんです。だから、入団当初は 「チビ」としか認識されてなかった深井さんを、今では私なんかより熱く応援してくれる 鹿島サポがたくさんいるのは嬉しいのですが、本当に良さを分かってもらえてるとは とても思えないのです。だって、駒大時代の深井さんはもっと輝いていたから。憎いぐらい。
…あふれる感情(怒りというよりは哀しみ)をここに叩き付けたので、どうにか 俊哉コールを快くできるかな、という感じです。私も磐田へ行きたかったかも。
2003.8.3 wrote
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