橋本裕の日記
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2007年07月12日(木) 薬とオカリナ

 私が苦し紛れに発明した仮想の「ストレス遮断スイッチ」は血圧を安定させるためにも役に立ったようだ。しかし、この分野での主役は、やはり病院で処方されたニューロタンという「血圧降圧剤」の存在である。薬の説明書きには、こう書いてある。

<血管を拡張し、血圧を下げます。勝手に服用をやめないでください。掻痒、頭痛、嘔気などが現れることがあります。発疹が生じた場合は中止してください>

 ものの本によると、人間の体は交感神経と副交感神経という二つの自律神経によってコントロールされている。交感神経はアドレナリンを分泌し、心拍数を上げ、血圧をあげる。これによって私たちの心と体が活性化される。いわば「戦闘モード」になるわけだ。

 これに対して、副交感神経はアセチルコリンを分泌し、心拍数を抑え、血管を拡張して、血圧を下げる。これによって私たちの心と体はリラックスする。いわば「休息モード」に入るわけだ。交感神経をアクセルに例えれば、副交感神経はブレーキの役目を果たしている。私たちの健康は、この両者の働きが正常に機能することで維持される。

 ところがストレスの強い環境におかれると、私たちはどうしてもアクセルを踏んで、精一杯がんばろうとする。つまり、いつまでも交感神経の緊張状態を持続させることになる。そうしているうちに、心身に疲労が蓄積して、ついには自律神経のバランスが崩れるわけだ。そうなると、私たちはつねに「戦闘モード」に置かれ、心と体が休まることがなくなる。

 私の高血圧や不眠症も、自律神経の調節作用の不調によるものだった。私は新しい職場のストレスに対抗して、がむしゃらにアクセルを踏み続けていたわけだ。こうして私は交感神経優位の緊張状態に追いやられていった。そうしたときに病院で処方された薬は、副交感神経の働きを助け、過剰な交感神経緊張状態を緩和して、心と体をリラックスさせてくれた。事実、薬を飲み始めてから、血圧は下がっていった。

 もっとも、この薬は交感神経の働きを抑えるために、私から生き生きとした精力を奪う。朝食後これを飲むと、マイカーでの通勤途中にきまって脱力感や睡魔に襲われた。そこで一休みするわけだが、ときにはうとうとが長引いて、学校を遅刻することもあった。

 そこで私はオカリナを吹くことにした。毎日、木曽川の見える景色の良い堤防に車を止め、オカリナを取り出して、季節の曲を吹いた。春は「春の小川」、夏は「夏が来ぬ」、秋は「紅葉」といった按配である。オカリナを吹いていると、心がリラックスするだけではなく、ゆたかでさわやかな気分に満たされた。そして明るい気分で学校へ向かうことができた。

(今日の一首)

 オカリナを毎朝吹いてさわやかに
 こころたのしく笑顔の人生


橋本裕 |MAILHomePage

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