橋本裕の日記
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2007年06月21日(木) 南国で見つけた居場所

 一昨日の「朝日新聞」の朝刊に「南国で見つけた居場所」という記事を見つけた。小松みゆきさん(59)は母親の須田ヒロさん(87)とハノイで暮らしている。母親は5年ほど前に夫を亡くし、そのころから認知症の症状があらわれはじめた。しかし地もとで施設を探したが空きがなかった。そんな母親をみゆきさんはベトナムに連れてきて、ハノイで二人暮らしをはじめたのだという。

 二人は毎日夕暮れになると、自宅近くの公園の湖のほとりを30分ほどかけて散歩する。風は生暖かく、ねっとりとしている。それでも40度を超える日中より過ごしやすい。天秤棒を担いだバナナ売りや、遊具で遊んでいる子どもたちを見て、母親は、「みんな、伸び伸びしていていいねえ」と目を細める。

 物価は安く、4DKの家賃は4万円、食費は2人で約2万円で、生活費は月約10万円だ。みゆきさんの収入約3万円とヒロさんの年金約5万円、それに東京のマンションの家賃収入でまかなうことができる。そして何よりもいいのは、「お年寄りを大切にする習慣」がベトナムの社会に根付いていることだ。ここでは人々が親切であり、お年寄りが大切にされる。

 出発前に撮ったパスポートの写真のヒロさんは目元がくぼみ、ほおが落ちていたが、いまは表情が明るくなった。みゆきさんがわざと「国に帰ろうか」と持ちかけても、「ここがええよ」とヒロさんは応える。「高度成長期前の日本のよう。この雰囲気がリラックスさせるのでしょう。認知症が進んでいないように思えるんです」と、みゆきさんは語る。

 みゆきさんやヒロさんの収入では、日本で認知症を抱えた親と二人暮らしはむつかしい。しかし、まだベトナムではそれができる。二人は故郷を遠く離れた異国で、ようやく幸せに暮らすことができる「居場所」を見つけた。これからこうした日本人が多くなるのかもしれない。

 私も最近「家庭」や「職場」のほかに、心の居場所をもう一つ与えられた。それはフィリピンのセブにある英語学校CPILSだ。今年も7月22日にセブへ旅たって3週間ほど滞在する。将来退職したら、毎年数ヶ月ここで暮らしたい。その日がくるのが待ち遠しい。

 昨年セブに語学留学したときは、夫婦で暮らしているIさんと出会った。銀行に1000万円ほど預けて、その利息で生活しているという話だった。生活費は夫婦合わせて年間80万円。Iさんは近所の子どもたちをあつめて、バスケットを教える毎日で、子どもたちの笑顔を見るのが生きがいだと語っていた。

 これもまたすばらしい人生だ。私はバスケットやサッカーは無理なので、数学や理科や日本語を子どもたちに教えてやりたい。フィリピンに私塾のようなものが開けたらなと、夢をふくらませている。

(今日の一首)

 異国にて英語を学び旅をする
 野ざらし人生老後のたのしみ


橋本裕 |MAILHomePage

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