橋本裕の日記
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| 2006年10月18日(水) |
北朝鮮と国交正常化を |
15日のテレビ番組で、自民党の中川昭一政調会長が「核保有の議論はあっていい」と発言した。国内の右派にたいするサービスだったのだろうが、これが海外で波紋を呼び起こしている。ブッシュ大統領まで懸念を表明した。この時期、政調会長はおもいきり首相の足をひっぱっている。安倍首相もかっては核武装容認の立場だったが、今は「非核三原則」の堅持を明言している。
17日の朝日新聞「政治態度拝見」(星浩編集委員)は、最近の安倍氏の外交路線の転換を「半化け」と表現している。中川秀直自民党幹事長は、「安倍氏をイデオロギーの人とレッテル貼りをする向きが多かったが、見誤っていけない。安倍氏は国益に立脚した戦略の人だ」という。自民党首脳によると、安倍氏を「半化け」させたのは、「選挙と米国」だそうだ。
ところで、この「半化け」首相に対して、11日の参議院予算委員会で、民主党の森ゆうこ議員が、週刊現代10/11号の「安倍晋三は拉致問題を食いものにしている」の記事について真偽をただした。これに安倍首相は珍しく取り乱して激昂したようだ。
02年9月に小泉首相が華々しく訪朝し、これを実現した立て役者福田康夫官房長官の株が急上昇した。安倍氏はこれに対抗して、朝鮮族の出身で、金日成、金正日親子と20年もの親交がある中国の大物実業家・崔秀鎮(チェ スジン)を頼った。安倍氏は別荘のある河田湖畔のホテルで昼食をとりながら2時間ほど極秘会談をもったそうだ。
その一週間後に、安倍氏の腹心で政策秘書の飯塚洋氏が北京に飛び、崔氏と3度に及ぶ交渉をした。崔氏の証言では、このとき安倍氏が求めたのは、蓮池さんの2人の子供と、地村さんの3人の子供、曽我ひとみさんの夫と2人の子供、合計8人を安倍氏が政府専用機に乗せて日本に連れて帰るというものだった。
その見返りに、安倍氏は「直ちに国交正常化の交渉を再開し、早期に実現する」ことを約束した。また、崔氏には5000万ドルの提供も約束したという。
当時安倍氏は拉致問題を盾に、北朝鮮の極悪非道ぶりを口を極めて非難していたが、水面下では「国交正常化」に向けて、このような寝技の交渉をしていたわけだ。もしこれが本当なら、なかなかのくせ者といわなければならない。
週刊現代のこの記事は翌日も国会で取り上げられたが、安倍氏はシラを切り通した。そこで週刊現代は「03年8月に北朝鮮と秘密交渉を行ったのは事実か」「5000万ドルの資金提供の約束は事実か」など3項目の質問状を送ったが、いまだに回答がないらしい。
私見を述べれば、安倍さんなかなかやるじゃないか、というところだ。この話が本当なら、安倍さんに少し期待したい気がした。日本に最大の国益をもたらす「北朝鮮との国交正常化」をぜひ実現してほしい。できればそのための「戦略」を公にして、私たち国民と国際社会に希望を与えてほしいものだ。
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