橋本裕の日記
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2006年02月21日(火) 地球大異変

 土曜日と日曜日の二夜連続で、NHKスペシャル「地球大異変」をみた。地球規模でいままでなかった気候の大異変がおこっている。

 去年一年だけみても、アメリカ南部に米国災害史上最悪の被害をもたらした巨大ハリケーン・カトリーナ、スペインを襲った145年ぶりという小雨、そしてアマゾン川を干上がらせた記録的な大渇水など、私たちは異常気象に翻弄された。

 科学者はこれを化石燃料の大量消費による地球温暖化だと分析している。この数十年間急カーブで世界のCO2濃度が上昇し、平気気温が上昇した。大気の運動が活発化すると、猛烈な熱波や寒波が発生する。2003年、ヨーロッパに3万人を超える死者をもたらした熱波も温暖化によるものではないかといわれている。

 科学者は今後100年間でCO2濃度倍増し、気温は4度以上上昇すると考えている。そうするとどういうことになるか。NHKの番組では、世界屈指の計算速度を誇る日本のスーパーコンピューター「地球シミュレータ」による計算結果を映像化して、その驚くべき世界を描き出していた。

 温暖化によって、東京は奄美大島付近の気温になり、真夏日の日数は100日以上に増加し、正月でさえ紅葉の真っ盛りだという。台風やハリケーンは巨大化し、カトリーナ級の台風が本州を襲い、暴風による被害が激増する。

 北極海の氷は完全に融け、海面が上昇して、今世紀末には2億6千万もの人々が環境難民になる可能性がある。地中海沿岸では耕地の乾燥化が進み、アマゾンにはアラビア半島の面積を超える広大な砂漠が出現する。じつはこうした予兆はすでに現れている。世界の各地で居住地が海水によって浸食され、アマゾン川は大規模な渇水に襲われた。
 
 温暖化は、世界の食料事情を激変させる。さらに死をもたらす熱帯病のデング熱が拡大しているが、100年後には九州南部や米国南部が感染危険地域に入る。科学者はこうした悲劇を避けるために温室効果ガスの排出量を2050年に世界全体で50%削減しなければならないと警告している。

 しかし、これは容易なことではない。地球温暖化防止の国際会議は毎年開かれているが、最大の石油消費国であるアメリカが「経済活動を阻害する」として規制に反対である。発展途上の中国やインドも、「先ずは先進国から」という消極的態度を崩さない。NHKの番組は最後にその暗澹たる会議の様子を紹介していた。

 「環境の崩壊が止まらない」というのが、2回目に放送された番組に題名になっていたが、現在の繁栄のために近い将来を破壊し、地球をとりかえしのつかない姿にしてしまってよいのだろうか。とくに経済最優先で走り続けるアメリカの姿勢に大きな疑問を覚えた。


橋本裕 |MAILHomePage

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