橋本裕の日記
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15.少女たち
私たちの世代の男性は、ほとんどがサユリストではないだろうか。「愛と死をみつめて」や「キューポラのある街」「美しい暦」「いつでも夢を」などの吉永小百合はほんとうに清純で、青春のシンボルとして輝いていた。
私が教員になった1970年代の終わりは、山口百恵が人気で、青春映画の輝けるスターだった。小百合といい百恵といい、セーラー服がよく似合う。映画を見ながら、こんなに可愛い少女達に出会えるのなら、高校教師も悪くはないななどと思ったものだ。
現実はいささか映画とは違っていた。たしかに少女達は野の花々のように美しく、私の心をそそったが、それは禁断の花である。うっかり手を出したりしたら取り返しのつかないことになる。
結婚をして、かなり年輪を重ねた現在の私は、美しい存在を美しいままに観賞用として眺めることができる。それだけ落ち着いて、傍観者でいられるのだが、若い頃はそうでもなかった。声を掛けられたり、体を寄せられたりすると、ついつい平常心を失って、あらぬ妄想に駆り立てられたりもする。すべては若さゆえの煩悩であり、欲望の渇きだった。
放課後、テニスコートでしばらく汗を流す。少女達のスコート姿はそれだけで私の血を騒がせる。とくに副部長の西野小百合は色白の美しい少女で目が離せなかった。無意識のうちに私の視線が彼女を追っていた。
軟式テニスは大学の授業で半年ほど経験しただけで、ほとんど初心者とかわりがなかった。だから、生徒と球を打ち合っても勝負にならない。本を買ってきて読んでみたが、実践となるとそう思うように体がうごかなかった。
「先生、がんばって」 「しっかり、球を見て」 「もっと、足を使って」
生徒に励まされて、コートを駆け回るが、最後は足がもつれて転倒する。しかし、この瞬間が、なんとも爽快だった。
<今日の一句> 桜貝 拾へばたのし 浜の秋 裕
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