橋本裕の日記
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父の命日が近づいてきた。父が死んだのは、1991年5月20日である。そこで、今日はその頃の日記を取り出して読んでみた。11年前の5月5日の日記を、そのまま引用しよう。
<一昨日、昨日と、福井に帰省。父の足腰がだいぶん弱くなっていた。しかし用便はどうにかひとりでできるようである。祖母の場合と比べても、非常に扱いやすく、素直な病人だという母の話に、いささか驚いた。
福井は祭りの最中だということで、「もろびた」に五目飯が作ってあった。それを食べながら、「おとうさん、盆までもつかしら」という、母の話を聞いた。
もろびたに五目つくりて我を迎ふ ふるさとの父母ありがたきかな
今日はこちらは朝から地区運動会である。少々風邪気味で、鼻水がでる。体調悪く、創作意欲もほとんど湧かない。卒業生の二尾さんから、二輪草の絵葉書が届いた。返信を書いた。>
日記を読みながら、11年前の父の様子が目に浮かんできた。私たちが帰るとき、父はこれまで必ず玄関先まで出てきていた。この日も寝床から立とうとするのを、押しとどめて帰ってきた。
そのとき、私はふとこれが生前の父の見納めかも知れないと思った。父もたぶん同じことを考えていたのだろう。寝床から起きあがって、別れ際に私たちを見つめる父の顔が、すこし涙ぐんでいた。
<今日の一句> あめにぬれ 道をたどれば ツツジ咲く 裕
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