橋本裕の日記
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2002年05月01日(水) 森林が消える

 先日、若狭に行ってきた。若狭は私が小学生時代を過ごした場所である。車を走らせながら、しばし過去の思い出に耽った。見覚えのある山や川、そして民家のたたずまい。

 おりしも、新緑の季節である。山は一面の緑色、と書きたいところだが、現実は違っていた。山肌がところどころまだらになっている。木が枯れて茶色になったところ、さらにすすんで、白けた幹だけの柱の林立。なかにはすっかり禿げ山になっているところもあった。

 どうしてこんなことになったのか。理由として大気汚染や酸性雨が浮かぶ。以前に新潟県を旅したときも、同じ光景にであった。そのとき同行した友人の話では、中国から来る汚染物質の影響だと言うことだった。そうだとすると、被害は日本海側の森林全体に及んでいるのだろうか。

 山のみどりが滅びたらどうなるのだろう。森林は自然のダムである。この巨大な貯水池が失われたら、農業は壊滅するのではないか。土壌が雨で流され、海を汚染し、やがて海の幸も失われるだろう。森林の消滅は、私たちの生活に計り知れない影響を及ぼす。

 私たちの今回の旅の目的は福井県と京都府の県境にある「青葉山」に登ることだった。しかし、目的地に近づくに連れて、私の心に不安が募ってきた。もし、私の大好きな青葉山が、枯れ山になっていたらどうしよう。これはもう悪夢としかいいようがない。

 しかし、これは杞憂だった。青葉山はその名前の通り、青葉、若葉に覆われていた。どこにも枯れたまだら模様はなかった。登山道を辿り、杉林を抜け、樺や楢などの原生林を通ったが、そこもまた、生き生きとした青葉に包まれていた。

 私はほっとして、山のみどりを堪能した。しかし、近いうちに、この山も青葉山でなくなるときがくるのではないだろうか。十年後、ふたたびこの山の麓に来て、山を仰いだとき、そこにどんな山の姿があるのか不安である。この不安を現実のものにしないために、私たちにできることはなんだろうか。


橋本裕 |MAILHomePage

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