橋本裕の日記
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私が小学生の頃は、ソロバンが盛んだった。学校の授業でもソロバンをやったし、授業が終わった後も、放課後、ソロバンの課外活動があり、遅くまで居残りしてやらされた覚えがある。
私の場合はさらに、友人に誘われるままソロバン教室にも通った。そして、日曜日には近くの若狭高校まで検定試験を受けに行って、何級かの免状をもらったおぼえがある。
こう書くと、私がソロバンが好きで、得意だったように思われるかも知れないが、実際はあまり好きではなかったし、得意でもなかった。人より二、三倍は努力して、やっと人並みにできたくらいだと思っている。とにかく、あのせかせかしたリズムについていけないで途方に暮れることが多かった。
さいわい中学に進学してから、ソロバンとは縁が切れた。そうすると、もう数年で、ほとんど使い方がわからなくなってしまった。今私はソロバンはまったくできない。かけ算や引き算はおろか、足し算もできない。それでもたまに妻がソロバンを出してきて、家計簿を見ながらはじいているのをみると、なにやら懐かしくなり、そっと手にとってみたくなる。
ソロバンをやると暗算が強くなるときいたが、それは頭の中にソロバンが置ける人の話で、私くらいの腕では話にならないのだろう。とくに計算能力や暗算力がついたとも思えないし、一体何のための大騒ぎだったのかと、ほんとうに不思議でならないのである。
数学が大の苦手だったという妻がやすやすとソロバンをあやつるのを見ていると、ソロバンの才能とは、結局手先の器用さの問題ではないか、数学的能力とは何の関係もないのだろうと考えざるをえない。のんびり屋で不器用でもあった私には、小学校のソロバンはいささか気のすすまない体験だったわけだ。
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